栗野慎一郎

栗野慎一郎について

栗野慎一郎（くりの しんいちろう、1851年12月9日 - 1937年11月15日）は、明治から昭和初期にかけて活躍した日本の外交官であり、初代駐フランス特命全権大使として知られています。福岡藩の槍術師範の長男として福岡市で生まれた彼は、幼少期から学問を重んじて育ちました。藩校修猷館で教育を受けた後、漢学や国学、さらに蘭学などを学ぶため、瀧田紫城の塾に通います。1865年には福岡藩から藩費留学生として選ばれ、英語習得のため長崎の塾に入学。ここで陸奥宗光や高峰譲吉とともに学びました。

しかし、1867年に英国水兵殺害事件という事件に巻き込まれ、京都に拘留されることになります。この経験が影響し、彼は後の岩倉使節団の渡米に参加できなくなります。4年後の明治8年に、再び藩費留学生として米国に留学、ハーバード大学で法律を専攻します。彼は同校で多くの将来の外交官たちと親交を結びました。

明治14年、彼は外務省に入省し、さまざまな職務を経験します。権少書記官や条約改正掛、翻訳局次長などを務め、特に不平等条約の改正に力を注ぎました。しかし、改正条約草案を巡っての対立により一時期外務省を退官し、逓信省に転任。ここでは、参事官や外信局長を歴任し、東京郵便電信学校の初代校長に就任します。

その後、明治24年に新設された外務省政務局の初代局長に就任し、さらに駐米公使や駐イタリア公使、駐フランス公使を歴任します。特に駐米公使としては、日米改正新通商条約の調印に成功し、駐フランス公使としても多くの功績を残しました。明治39年に駐フランス特命全権大使に任命され、日仏協約の締結など外交において重要な役割を果たしました。彼の努力により、日本はすべての列強との関税自主権を回復し、不平等条約の改正が完了します。

晩年には枢密顧問官に就任し、昭和12年に生涯を閉じました。彼の影響は子孫にも及び、長男の斎次郎が彼の名を引き継ぎます。また、栗野の成果は国際関係の発展に大きく寄与し、彼の功績は歴史に刻まれています。彼にまつわるエピソードも数多くあり、特に日露戦争開戦前の緊迫した外交交渉において、皇帝との会話が印象に残っています。

彼の家族や栄典についても触れておくと、彼の六男は日立製作所で技師を務めたほか、様々な際立った功績から、多くの位階や勲章を受けました。外務における彼の業績は今なお評価され続けています。

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