校倉造

校倉造（あぜくらづくり）について

校倉造は、古代から近世にかけて日本に存在した伝統的な倉庫の建築スタイルであり、主に寺院や神社の宝物、経典を保管するために利用されました。また、古代官衙の穀物倉庫の役割も果たしていたことが知られています。この独特の建築様式は、校木と呼ばれる特製の木材を井桁状に組み上げた外壁が特徴で、高床建物や土台建物との関連性もあります。

歴史的背景

校倉造の起源は明確には分かっていないものの、関野貞の説によれば、『日本書紀』に登場する「朝倉の木の丸殿」がその原型であるとされています。校倉造の発生については、高床倉庫からの進化や大陸からの影響が考えられていますが、律令制度の導入に伴って広まったことから、特に渡来した建築様式の一部と捉えられています。

中国南部や東北地域にも似た遺構が存在しますが、校木の断面形状は日本固有の特徴を持つとされ、これは後の校倉の形状に影響を与えました。律令制度では、土地税の徴収が非常に重要であり、その結果、正倉に納められる穀物の保管が必要となったため、こうした倉庫の形態が求められたのです。

さらに、「校倉」という名称が文献に初めて記録されたのは、『和名類聚抄』であり、これは「蔵穀物也、阿世久良」と説明されています。しかし、律令制度の衰退とともに、そのような倉庫の必要が減少し、校倉造は次第に姿を消していきました。それでもなお、保存性に優れる校倉は奈良時代以降、重要な物資を保管するシンボルとして用いられました。

校倉造の構造

校倉造は、その湿度管理や害虫対策に優れた高床式の構造が多く見られます。床下には礎石が用いられ、その上に柱が立てられています。さらに、台輪という部材が載せられ、その上に組まれた校木が外壁を形成します。校木の断面は、変形した五角形または六角形であるため、外壁は波板状の特徴を持ち、校倉全体の強度を高めています。

古い遺構では、交差する校木が段違いに組まれているのに対し、後世の建物では同一の高さで組まれることが増えました。柱を使用しない設計が一般的ですが、近世の一部の建物では柱が利用され、校木は単に装飾的な役割を持っています。

校倉造は、外部の環境によって校木が収縮したり膨張したりし、内部の湿度調整に寄与するとの説もありましたが、実際にはその因果関係は否定されています。また、屋根の構造も古いものでは簡素でしたが、後に発展してより複雑なものも見られるようになりました。

校倉の用途

律令制下では、租税の保管が必要であったため校倉造が普及しました。特に稲穂をメインに保管していたことから、校木の堅牢な壁は、内部からの圧力に耐える設計になっています。“塞”と呼ばれる小さな作業空間があり、稲穂の取り扱いが行われていました。そのため、稲穂の出納は高所から行なう必要があったとされています。

このように、校倉造は穀物保管の機能を持ちつつ、後には宝蔵や経蔵として重要な物資が納められる場所にも発展しました。現存する校倉造の建物は主にこの後者の用途で使われてきた事例が多いです。

主要な校倉造の建物

日本国内には、校倉造の代表的な建物が数多く残っています。例えば奈良時代に築かれ、国宝に指定されている正倉院正倉や、唐招提寺経蔵がその一例です。さらには、重要文化財に指定された建物も多く、古代から中世にかけての文化や歴史が色濃く反映されています。

校倉造は日本の建築の中でも特異な存在であり、その美しさと機能性から、今なお多くの人々に親しまれ続けています。

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