関野貞

関野貞（せきの ただし）

関野貞（1868年1月9日 - 1935年7月29日）は、日本の建築史学者、建築家、美術史家、考古学者であり、東京帝国大学の名誉教授を務めました。

経歴

高田藩士の家に次男として生まれました。旧制一高を経て、1895年に東京帝国大学工科大学造家学科（建築学科）を卒業。卒業論文は平等院の研究でした。卒業後、辰野金吾の指揮下で日本銀行の工事に参加。1896年に古社寺保存法が立案されると、伊東忠太の勧めで内務省技師、奈良県技師となり、奈良の古建築を調査し、建築年代を判定しました。

1899年には平城宮址を発見。この功績により、平城宮址は1922年に国の史跡（のちに特別史跡・特別名勝）に指定されました。また、1912年に基肄城跡を確定、1917年には屋嶋城跡を発見するなど、考古学的にも大きな業績を残しました。調査研究に導入した技術や遺構・遺物の様式論は、その後の日本考古学に多大な影響を与えました。

1901年に東大助教授、1910年に教授に就任。この間、平城宮址の研究を進め、1908年に工学博士の学位を授与されました。建築史の講義では「日本建築様式史」を確立。国宝保存委員会委員・文部省国宝鑑定官などを務め、日本建築の保存事業に尽力しました。

1910年からは朝鮮総督府の委嘱を受け、朝鮮半島や中国の古建築調査を度々行い、文化財の保護に努めました。『朝鮮古蹟図譜』の公刊により、1917年にフランス学士院からスタニスラス・ジュリアン賞を受賞しました。

1906年には清国に派遣され、中国建築の研究にも着手。1920年には、国民軍の石友三によって焼き討ちされる前の少林寺を撮影するという貴重な記録を残しました。1929年からは東方文化学院東京研究所で、「支那歴代帝王陵の研究」や「遼金時代の建築とその仏像」などの研究を行いました。

1928年、中国の河北省で、数年前から売りに出されていた北魏時代の石仏を発見。翌年、大倉喜七郎に働きかけて購入させ、日本に持ち帰り大倉集古館に収蔵させました。

墓所は多磨霊園にあります。

著作

『朝鮮古蹟図譜』
『韓国建築調査報告』
これらの資料は、現在でも韓国の文化財の保存、修復、復元の上で重要な役割を果たしています。

建築作品

（詳細な建築作品リストは省略）

その他

法隆寺が高麗尺で建てられていることを発見し、非再建説を主張。「法隆寺再建非再建論争」は学史に残る論争となりました。

子息の関野克は建築史学者、関野雄は考古学者として活躍しました。

参考文献

藤井恵介・早乙女雅博・角田真弓・西秋良宏 編 『関野貞アジア踏査』、東京大学総合研究博物館、2005年。ISBN 978-4-13-020220-6
関野貞研究会 編 『関野貞日記』、中央公論美術出版、2009年。ISBN 978-4-8055-0586-1

関連項目

韓国学
日本建築史

外部リンク

関野貞 - 東京文化財研究所
* 精神のエクスペディシオン

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