校書殿

校書殿（きょうしょでん）は、平安京の内裏において重要な役割を担った殿舎の一つです。内裏の南西に位置し、紫宸殿の西、清涼殿の南という、中心部に近い場所に建てられていました。その構造は、南北に九間、東西に二間の母屋を中心に、四面に廂を設けた東向きの建物でした。

校書殿は、単なる建物以上の意味を持っていました。西廂の北側には、天皇の側近である蔵人が詰める蔵人所が置かれ、政治の中枢に近い場所としての機能も果たしていました。西廂の南側には、書籍や文書を整理・保管する校書所が設置され、重要な文書管理の拠点となっていました。さらに、東廂の南側には、右近衛府の職員が詰める右近陣座が設けられ、武官の詰め所としての役割も担っていました。

このように、校書殿は複数の機能を併せ持つ建物でした。文書管理を行う場所であったことから「文殿（ふどの）」、調度品などを納めておく場所であったことから「納殿（おさめどの）」、そして、弓術の練習場を観覧する場所でもあったことから「弓場殿（ゆみばどの）」とも呼ばれていました。これらの別名からも、校書殿が内裏においていかに多様な役割を担っていたかが伺えます。

校書殿は、平安京の政治、文化、武術といった様々な側面に関わる重要な場所であり、当時の宮廷生活を理解する上で欠かせない要素の一つと言えるでしょう。

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