根岸浜吉

根岸浜吉の生涯と興行業の発展

初代根岸浜吉

根岸浜吉（ねぎし はまきち）は、浅草の興行師として知られています。初代浜吉は、特に浅草六区での活動で名を馳せ、根岸興行部の創立者としてもその名を残しています。彼は1827年、常陸国筑波郡小田村西町、現在のつくば市小田に生まれ、豪農の父のもとに育ちました。

浜吉は結婚し家督を継ぎましたが、子宝に恵まれず、弟に家を譲ったことがきっかけで放蕩生活に陥ります。安政年間には、近所の年上の女性・おそのとの駆け落ちを経て上京し、困窮した生活を強いられました。かつての使用人から鰻の頭を焼いて商売を始め、わずかに財を築くも、芝居好きの彼はその商売をおそのに任せ、自らは義理の甥である守田勘彌の後押しで、守田屋の小札場で働き始めます。

1868年、浜吉は明治元年の忙しい時期に41歳となり、彼の芝居への情熱はますます強まりました。守田座が新富町に移転する際、浜吉は株を買って利益を得ており、その後、静かに劇場経営に進出することとなります。

道化踊りの流行も手伝い、1886年には浅草六区に道化手踊り興行場を開くことを計画。しかし最初は許可が下りなかったものの、世間の要望を受け入れた警視庁の後押しもあり、翌年には公園でも興行が許可されました。

浜吉はその後、還暦を迎えるころには興行会社「根岸興行部」を設立し、浅草公園六区に劇場「常磐座」を建設します。名の由来は、彼の故郷である常磐にちなんでいます。劇場の年中無休の興行は成功を収め、浜吉は歌舞伎や新派劇、さらには活動写真にも進出し、浅草一の興行師としての地位を築きました。

常磐座再建とその後

1908年には火災で常磐座が焼失するも、すぐに再建され、翌年には金竜館（後のロキシー）が開設されました。浜吉の死去までに、彼は演劇の発展のみならず、さまざまな興行を手掛け、浅草を繁栄させました。彼の死後、劇場の経営は女婿の丑治が引き継ぎ、今度は映画館の設立に取り組みます。

関東大震災によって劇場が焼失した後も、後に実家が行った温泉事業などの苦難に立ち向かいながら、その血脈が受け継がれていきました。浜吉の曾孫まで続く家族の物語は、時を超えて興行の歴史を物語っています。

二代目根岸浜吉

二代目の根岸浜吉は、初代の吉之助の息子で、1948年に早稲田大学を卒業後、父の経営する木馬館で活躍しました。彼の業績は短命でしたが、浪曲の改革案を発表し、事業における革新を目指していました。映画監督である根岸吉太郎という息子を持ち、既存の文化を引き継ぎつつ、時代の流れに寄り添った活動を続けました。

まとめ

根岸浜吉とその一族は、浅草の文化と興行業を発展させた重要な存在です。初代から続くその篤い情熱と創意工夫が、浅草を魅力的なエンターテインメントの地とする背後には、浜吉家の人々の努力と試練がありました。彼らの歴史を知ることは、現在の浅草の繁栄を理解する上で欠かせない要素となるでしょう。

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