格間

格間（ごうま、coffer）は、建築における天井やヴォールトを飾るために設けられた、正方形、長方形、八角形などのくぼんだパネルのことです。これらの格間が規則的に配置された天井は、格天井（ごうてんじょう）と呼ばれます。格間は単なる装飾要素にとどまらず、建築物の構造や美観に重要な役割を果たしてきました。格間は、caissons（「箱」の意味）やlacunaria（「空隙」の意味）とも呼ばれ、英語では格天井をlacunarと表現することもあります。

格間の歴史は古く、古代ギリシアやローマの石造建築にもその例が見られます。特に有名なのは、ローマのパンテオンのドーム天井です。このドームでは、格間がドームの重量を軽減する役割も担っています。さらに、紀元前7世紀のエトルリアのネクロポリスにある石室墳では、柔らかいトゥファ状の石を削り、直交する梁を再現することで格天井を形成しています。木製の格間は、ルネサンス初期のロワール渓谷の城の天井などに見ることができます。このように、格間は様々な素材と時代を超えて、建築デザインに取り入れられてきました。

格間の形状は、平面充填問題の一種として捉えることもできます。イスラム建築やルネサンス建築では、多様な形状の格間が試みられました。ドームやヴォールトの曲面を格間で覆う際には、より複雑な計算やデザインが必要になります。そのため、格間は、建築家や職人の創造性を刺激する要素でもありました。

中国では、格天井は「藻井（そうせい）」と呼ばれていました。この藻井は、単なる天井の装飾としてだけでなく、吉祥の意味合いを持つこともあります。中国の伝統建築において、格天井は重要な要素であり、その美しさは多くの人々を魅了しています。

格間は、古代から現代まで、建築物の装飾と構造の両面で重要な役割を果たしてきた建築要素です。その歴史は長く、様々な文化や時代において、多様な形状や素材で用いられてきました。格間は、単なる装飾以上の意味を持ち、建築デザインにおける多様性と創造性を象徴する存在と言えるでしょう。

関連用語

ドーム
梁 (建築)

参考文献・出典

* U.S. National Capitol（外部リンク）

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