桂ざこば (初代)

初代 桂ざこばの生涯と影響

初代 桂ざこば（桂ざこば）は、1866年4月25日に生まれ、1938年9月19日に亡くなった上方落語の落語家です。本名は小倉 幸次郎で、彼は明治から昭和にかけて活躍しました。当初は3代目笑福亭松鶴の門下に属し、「光蝶」と名乗っていましたが、その後「園馬」や「柳吉」と改名し、様々な師匠のもとで学びました。

彼の芸歴においては特筆すべき点がいくつかあります。特に1905年には、3代目桂文三門下で「三輔」という名前を名乗り、桂派に所属しました。しかし、文三が桂派を離れた際、彼も同様に離脱し東京に上京、柳派に加入することになります。1910年には再び大阪に戻り、互楽派に参加しましたが、1912年に突然落語業から離れ、古物商を営むことにしました。この試みはうまくいかず、再び大阪に戻ったのです。当時にはすでに弟子の助六が2代目三輔を襲名していたため、1920年には初代ざこばを名乗り再度復帰しました。

ざこばは、落語のスタイルに革新をもたらしたことで知られています。特に、彼が名乗るようになった後には、新しい演出や作風を積極的に取り入れ、「ゼネレイト」や「インプレッション」などの英語を噺の中で使ったり、立ったまま演じるという新しい手法を試みました。また、寄席に行く際には電気自動車を利用するなど、先進的な考え方を持っていた人物でした。しかし、この革新が大正時代の観客にとって新しすぎたため、当時の人気を再び取り戻すことは叶いませんでした。

彼の得意なネタには『宿替え』『大和橋』『三十石』『口入れ屋』などがあり、『大和橋』や新作落語はSPレコードにも録音されています。彼の演技スタイルや新たな試みにより、彼は桂派の中でも異色の存在として愛されていました。

晩年には、近所の妙見堂に日々詣でる生活を送るようになりましたが、結果として自ら命を絶つ選択をします。享年72歳という短い生涯でした。法名は華辨院超凡日行信士。彼の墓は谷町9丁目の海宝寺にあり、『古今東西落語家事典』によれば、四つの三角柱で構成された墓石には「桂ざこばの墓」という文字が刻まれ、彼の三人の妻の名前も記されています。

子弟については、桂助六、桂せんば、桂三玉などが存在し、初代ざこばの名を継ぐ2代目ざこばは、襲名に際して初代の墓参りも行っています。こうして初代桂ざこばの生涯は、上方落語の世界に多大な影響を与え続けており、彼の業績は今なお語り継がれています。

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