桂小春団治 (3代目)

上方落語界で異彩を放つ落語家、三代目 桂 小春団治（かつら こはるだんじ）は、1958年2月15日に大阪府大阪市で生を受けました。幼少期に同府門真市へ転居し、大阪市立高等学校（現在の大阪府立いちりつ高等学校）を卒業後、立命館大学文学部に進学しますが、中退します。本名を三島 広幸（みしま ひろゆき）といい、この名でSNSでの活動も行っています。妻はラジオDJの横山 由美子さんです。

師事したのは、三代目 桂 春団治。1977年8月1日に入門し、高座名を桂 春幸（かつら はるゆき）と名乗りました。二年後の1979年には、師匠もかつて使用した由緒ある名である桂 小春（かつら こはる）に改名。1980年には新花月の上席で初舞台を踏みます。若手時代からその才能は注目され、1982年、1983年にはABC漫才落語新人コンクールで新人賞を二年連続で受賞しました。また、同時期には松竹芸能所属の仲間であった笑福亭 小つる（後の六代目 笑福亭 枝鶴）やMAKOTO（後の北野 誠）と共に、コントユニット「ギャグ性感隊」を結成し、新たな笑いにも挑戦しています。

1999年4月には、三代目 桂 小春団治を襲名。これを機に、活動の幅を大きく広げます。特に2000年頃からは、国内にとどまらず世界を舞台に活躍を始めました。字幕を活用した落語というユニークな手法で、言葉の壁を超え、海外の観客を魅了します。これまでに、世界最大の芸術祭として知られるエジンバラ・フェスティバルに落語家として初めて参加したほか、国際演劇祭への招聘公演、各国大使館主催の公演などを通じて、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、フィンランド、ノルウェー、ベルギー、ブルガリア、韓国、トルコ、カナダなど、数多くの国々で公演を行っています。また、ハーバード大学やコロンビア大学といったアメリカの著名な大学でも講演を行うなど、教育・文化交流の場でも活躍。2007年には落語家としては初めてブロードウェイでの単独公演を成功させ、その名を世界に轟かせました。これらの国際的な活動が評価され、Newsweek日本版の特集「世界が尊敬する日本人100」にも選出されています。

2010年2月には、ニューヨークにある国連本部と、音楽の殿堂として知られるカーネギーホールの小ホールで独演会を開催するという快挙を成し遂げました。さらに、2006年7月には文化庁文化交流使に指名され、同年同月には落語家として初めて落語の普及を目的としたNPO法人「国際落語振興会」を設立するなど、落語文化の国際的な振興にも積極的に取り組んでいます。

芸風としては、創作落語を得意とし、その数は約45席にも及びますが、古典落語にも深い造詣を持っています。最も好きな古典落語は『ちりとてちん（酢豆腐）』であると語っています。主な持ちネタには、『職業病』、『アルカトラズ病院』、『コールセンター問答』、『冷蔵庫哀詩』、『アーバン紙芝居』（古典の『いかけ屋』を現代風に改作）、日本初の漢文落語とされる『失恋飯店』、日本初の英語落語とされる『JAPAN AS NO.1』、視覚的な要素を取り入れた『漢字悪い人々』など、その独創性が光る演目が並びます。特に『国勢調査』は、初代小春団治が創作したものを、総務省の依頼を受けて2010年の国勢調査の時期に約80年ぶりに復活させたことでも話題となりました。

受賞歴としては、前述のABC漫才落語新人コンクール新人賞（1982年、1983年）のほか、文化庁芸術祭で新人賞（1998年）と優秀賞（2007年）を受賞するなど、国内でも高い評価を得ています。メディア出演も多く、『奥さまリビング』（関西テレビ）、『かんさい情報ネットten!』（読売テレビ）、『平成紅梅亭』（読売テレビ）、『誠のホンキートーク』（ABCラジオ）、『昼ドキ!ワイド1008』（ABCラジオ）、『元気イチバン!!芦沢誠です』（ABCラジオ）、『土曜の朝はあいこでホイ!』（ラジオ大阪）、『hanashikaの時間。』（ラジオ大阪）など、テレビ、ラジオ番組に多数登場しています。

著書に「ギョウカイ君の出世術」、DVDには「落語笑笑散歩 第六巻 ～お伊勢まいり 喜六清八珍道中」、「松竹特選落語シリーズ壱 桂小春團治」などがあり、カセットでも「おもしろ英語落語」を発表するなど、様々な媒体でその芸に触れることができます。弟子には桂治門（かつら じもん）がいます。出囃子には『小春團治囃子』を使用しています。所属事務所は松竹芸能、上方落語協会会員として、国内外で精力的な活動を続けています。

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