桂岩院

桂岩院の生涯と上杉家との関わり

桂岩院（けいがんいん）は、安土桃山時代の女性であり、上杉景勝の側室として知られています。彼女の生県に関する詳細は不明な部分が多く、出生や育った環境についての確証はありませんが、四辻氏の家に生まれたとされています。母親は杉原氏であり、兄弟には四辻季継や高倉嗣良（後に藪嗣良と改名）などがいます。また、姉妹には後水尾天皇の寵姫となったお与津御寮人がおり、彼女の家系は上杉家の重要な人々と繋がりを持っていました。

桂岩院が上杉景勝の側室になった経緯は諸説あり、商人の介入によって景勝に見初められたとするものの、具体的な記録は残っていません。ただ、上杉家にとって重要な世継ぎを得るための選択だったと考えられています。

彼女は米沢城に住み、景勝の子どもを妊娠。慶長9年（1604年）5月には、玉丸（後の上杉定勝）を出産しました。しかし、彼女の産後の健康は非常に悪化し、さまざまな祈願や医療が尽くされましたが回復することはなく、景勝の帰還を待たずして亡くなってしまいました。この出来事は景勝にとって大きな悲しみであり、彼女の葬儀は上杉家の菩提寺である林泉寺で行われました。

桂岩院の戒名は桂岩院殿月正清佳大姉であり、初めは米沢林泉寺に埋葬された後、景勝の菩提寺である米沢極楽寺に移埋葬されました。次第に米沢藩主との深い関係が築かれ、多くの上杉家の人々に尊敬される存在となりました。

人物像と逸話

桂岩院に対する評価は上杉家の家臣たちの間で分かれていました。彼女の存在自体や上杉景勝からの寵愛が、一部の家臣に好意的に受け入れられなかったと言われています。桂岩院の米沢城への入城後に地震が発生した際には、それを天罰として扱う意見もあったほどです。また、彼女の急死の原因を正室である菊姫の怨霊によるものだという俗説も流れました。

こうした状況からも、桂岩院はその存在を受け入れられていない面があったと推測されます。しかし、上杉家が世継ぎを urgently求めていた状況を考えると、桂岩院は重要な役割を持った女性だったに違いありません。『上杉家御年譜』によると、彼女が定勝を出産したことは直ちに伏見に伝えられ、その祝賀が行われました。

その後の四辻家と上杉家の関係は複雑であり、幕府との間で様々な問題も生じましたが、景勝と桂岩院の子孫である上杉綱勝は、四辻家との親密な縁を深めながら、歴史に名を刻んでいきました。

関連作品

桂岩院に関する描写は、河村恵利の漫画『花の君参る 上杉景勝室・菊姫』にも描かれており、作品内では「斎」という名前で登場しています。

彼女の生涯を通じて、上杉家の歴史や複雑な人間関係の一端を知ることができ、当時の情勢について考える上で興味深い存在と言えるでしょう。

もう一度検索