上杉綱勝

上杉綱勝（うえすぎ つなかつ）

上杉綱勝は、江戸時代前期の大名であり、出羽国米沢藩の第3代藩主。山内上杉家第19代当主にあたります。

生涯

寛永15年（1639年）に2代藩主・上杉定勝の子として生まれます。初めは実勝（さねかつ）と名乗り、後に4代将軍・徳川家綱から偏諱を受け、綱勝と改名しました。正保2年（1645年）に父・定勝の死去に伴い藩主となります。

承応2年（1653年）には従四位下に叙せられ、侍従に任官、播磨守を兼任しました。慶安2年（1649年）には江戸城石垣普請を命じられ、藩の財政は悪化の一途を辿ります。

治世中は、開地の検地など貢租制度の整備を推進しました。慶安4年（1651年）には青苧検地を実施し、藩の買い上げ総額を530駄と定めました。また、明暦3年（1657年）には納方新帳を編成しています。領内におけるキリシタン弾圧を強化し、幕府老中の命により一門の山浦光則らを死罪とするなど、家中に動揺を招きました。

幕府の斡旋により媛姫と婚姻するも、万治2年（1659年）に媛姫が19歳で死去。その後、継室を迎えますが、寛文4年（1664年）に嗣子なく、世嗣も指名しないまま26歳で急逝しました。本来であれば上杉家は無嗣子断絶となるところでしたが、綱勝の岳父である保科正之の仲介などにより、綱勝の妹・富子が嫁いでいた高家・吉良義央（清和源氏の名門であり、扇谷上杉家・八条上杉家の女系子孫）の長男・三之助が末期養子として綱勝の跡を継ぐことで、家名の存続が許されました。しかし、この時、上杉家は米沢藩の領域のうち信夫郡と置賜郡の一部を収公され、石高は30万石から15万石に減少。保科正之による要請により藩士の召し放ちが不徹底になったため、財政難に拍車がかかることとなりました。

綱勝の死因を巡る説

綱勝の死因については、吉良義央による毒殺説が存在します。これは、綱勝の発病が妹の嫁ぎ先である吉良家を訪れた直後であり、病状が急速に悪化したことに起因する説で、小説や赤穂事件の解説書などで取り上げられることがあります。綱勝の病状については、当時の上杉家江戸家老であった千坂高治の「千坂兵部日記」（「削封日記 天」）に詳細な記録が残されています。

日記には、綱勝の容態として、激しい腹痛や嘔吐、腹部の張り、手足の冷え、脈の乱れなどが記されています。

一方、『山形県史』では、その病状から、綱勝の死因は現在の穿孔性胃潰瘍による病死ではないかと推定しています。綱勝は以前から病弱であり、「会津松平家譜」によると、万治年中にも危篤に陥ったことがあり、このときは井伊直孝らが上杉家後継者として保科正之の子、正純を据える案を正之に打診しましたが、正之はこれを断っています。

系譜

父：上杉定勝
母：生善院 - 近衛家家司斉藤本盛の娘
正室：媛姫 - 保科正之の長女
継室：富姫 - 四辻公理の娘
養子：上杉綱憲 - 吉良義央の長男

脚注

注釈

出典

参考文献

『山形県史』通史編第二巻
『山形県史』資料編16
「会津松平家譜」（飯沼関弥、昭和13年（1938年））

外部リンク

* 上杉綱勝 - Kotobank

もう一度検索