桂文三

桂 文三（かつら ぶんざ）

桂文三は、上方落語界における重要な名跡で、数世代に渡り名人たちに受け継がれてきました。特に、5代目文三は2009年の5月16日に襲名され、伝統をさらに引き継いでいます。

歴史と系譜

江戸における桂文三

最初の桂文三は生没年が不明であり、活動は明治末期から昭和10年代にかけて行われていました。彼の本名は浅倉喜一郎ですが、名前は「ぶんぞう」と読まれます。彼は初め、2代目三遊亭圓左に師事し、三遊亭左傳次として活動し始めました。1916年には三遊亭小圓左、1918年には春風亭柳若を名乗る時期もありましたが、すぐに小圓座に戻りました。1920年には圓昇として活動した後、初代柳家三語楼に入門し三朝楼の名で知られ、1926年に重楼、1935年に文三と名乗りました。

上方における桂文三

桂文三の名は、各代以前にも初代桂文治の門下に存在しました。特に天保14年（1843年）の見立番付には別の文三の名も確認されています。このように、文三の系譜は非常に古く、初代桂文左衛門への連なりもあると言われています。

4代目桂文三

4代目桂文三は、1886年に生まれ、1931年10月10日に逝去しました。彼の本名は高田卯之助であり、3代目文三の実子でもあります。若い頃から父の師匠である3代目桂扇枝に影響を受け、密かに神戸の寄席に出ていましたが、すぐに父の知るところとなり、正式に桂小文吾として入門しました。父の方針で京都での修行を経て、前座時代を「模範前座」と呼ばれるほど真面目に過ごしました。1904年には小文三と改名し、1921年4月には4代目桂文三を襲名しました。しかし、その半年後に脱腸手術が失敗し、享年35で急逝しました。

活動と影響

彼は初代桂雀三郎や初代桂三輔とともに桂派の若手として活躍しましたが、明治末期には父と共に三友派に移籍し、活躍のフィールドを広げました。音楽や小噺の才能にも恵まれ、「名古屋甚句」や「オッペケペー」などを得意とし、SPレコードに多くの音源が録音されています。このように、桂文三の活躍は音楽と落語を融合させ、上方落語の発展に寄与しました。

文献と今後の展望

桂文三に関する資料は、多くの文献に残されています。特に、月亭春松編の『落語系圖』や、古今東西落語家事典などから彼の活動や系譜について知ることができます。桂文三の名跡は、今後も伝統と改革を重ねながら、上方落語界における重要な存在であり続けることでしょう。

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