桂文枝

桂文枝の名跡とその歴史

桂文枝（かつら ぶんし）は、日本の上方落語において非常に重要な名跡の一つであり、現在は6代目が存在します。この名跡は、上方桂一門の名を象徴するもので、文治の名跡が東京に移った後、事実上文枝の名が唯一の存在となりました。

初代桂文枝の足跡

初代桂文枝（1819年 - 1874年4月2日）は、本名も同じで、明治維新の際に定められた戸籍でもその名が用いられました。彼は通称「藤兵衛」と呼ばれ、弟には桂文福がいます。近年、大阪市天王寺区の全慶院で彼の墓碑が発見され、出身地や背景が明らかとなりました。文献に掲載された情報によれば、文枝の生家は大阪市中央区心斎橋周辺にあり、職業は鍛冶職人とされていますが、子孫によると家具職人の「三文字屋」であったということです。また、掛け軸に描かれた肖像画も見つかっています。

彼は1840年に笑福亭梅花に入門し、笑福亭万光（萬光）を名乗りましたが、その後桂文治の門下へと移り、最初に名乗ったのは「フミエ」でした。しかし、その読み方が女性に似ていたため「ブンシ」と変更しました。彼は上方落語中興の祖とも言われ、派手な噺よりも素噺で高い評価を得ました。また、彼は『三十石』という落語の作品を大モノに育て上げ、百両で質入れしたという伝説があります。この人気から、寄席の席亭が彼の画像を床の間に飾ることもあったという逸話があります。

代々の文枝

初代文枝の後、2代目桂文枝（1844年 - 1916年5月16日）が登場します。元は初代立川三木助で、桂文三としても知られています。彼の本名は渡辺儀助で、享年72歳でした。

続いて3代目桂文枝（1864年 - 1910年12月24日）、本名は橋本亀吉。彼は幼いうちに父を亡くし、近所の初代文枝に可愛がられながら育ちました。1869年に入門し、持ちネタの豊富さで知られていましたが、47歳で生涯を終えました。

4代目桂文枝（1891年1月29日 - 1958年3月16日）は、本名が瀬崎米三郎で、寄席の生まれでした。彼は歌舞伎の子役としても活躍しましたが、病気の影響で中断。後に落語界に復帰し、独自のスタイルとして「浄瑠璃落語」を確立しました。彼の技術は非常に高く、多くの得意なネタを持っていました。

5代目、6代目へ

5代目桂文枝、6代目桂文枝は共に上方落語の重要な存在であり、特に5代目は上方落語四天王の一人と称されるほどの実力を誇ります。

まとめ

桂文枝の名跡は、上方落語の伝統と歴史を背負った存在であり、多くの弟子や流派を生み出してきました。文枝から引き継がれた芸が今日の落語にも色濃く影響を与えていることは間違いありません。上方落語の進化と変遷を見ていく上でも、桂文枝の名跡は欠かせない要素だと言えるでしょう。

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