桂福枝

桂福枝（かつら ふくし）は、1988年（昭和63年）10月5日に生まれた日本の落語家である。上方落語協会に所属し、多岐にわたる活動を展開している。本名は大畑雄太。所属事務所は吉本興業である。

来歴

香川県高松市の、かつて庵治町と呼ばれた地域に生を受けた。幼少期より地元の高松市立庵治小学校、高松市立庵治中学校で学び、その後は香川県立高松商業高等学校へと進んだ。さらなる学びの場として、千葉大学法経学部に入学し、そこで知見を広げた。

大学を卒業後、落語家の道を志す。2012年5月1日、上方落語界を代表する桂文福に入門。この時、「恩狸」という高座名を与えられた。この名は、「オンリーワン」という言葉から着想を得たものであり、唯一無二の噺家となることへの願いが込められていたと言われる。入門以来、桂恩狸として各地の寄席や落語会に出演し、芸を磨いてきた。

長らく桂恩狸として活動を続けていたが、2023年10月1日、大きな節目を迎える。この日、高座名を「桂福枝」へと改名したのだ。新たな高座名は、師匠である桂文福と、その師匠にあたる五代目桂文枝から、それぞれ一文字ずつを拝借して名付けられた。これは、師弟関係の深さと、偉大な先達から芸を受け継ぐ者としての覚悟を示すものであり、彼のキャリアにおける重要な一歩となった。

人物・特徴

桂福枝の大きな特徴の一つに、その恵まれた体格がある。身長は188cmに及び、上方落語協会の公式プロフィールにおいても「上方落語界一高身長」として紹介されている。この高身長は、高座での存在感を一層際立たせ、彼の落語に独特のユーモアや迫力を加えている。時にはこの体格を噺の枕に使うこともあり、観客に親しみやすさを与えている。

また、東京の落語家である柳家かゑるとは深い親交があり、彼からは「恩狸会長」というユニークな愛称で呼ばれている。この愛称が生まれた背景には、桂恩狸時代に彼が「日本落語協会」と名付けたLINEグループを作成したというエピソードがある。このことからも、彼の茶目っ気のある一面や、他の地域の噺家とも積極的に交流する開かれた人柄がうかがえる。

活動と今後

吉本興業所属の落語家として、なんばグランド花月などの主要な劇場や、各地で開催される落語会で精力的に高座を務めている。上方落語の古典や新作を織り交ぜながら、自身の持つ個性や経験を活かした高座は、幅広い層の観客から支持を得ている。特に、その長身を活かしたダイナミックな動きや、独特の間合いから生まれる笑いは、彼の落語の大きな魅力となっている。

「桂福枝」という名跡を継いだことは、彼にとってさらなる飛躍への原動力となっているだろう。偉大な先達の名を背負い、上方落語の伝統を次世代に繋ぐべく、日々芸道に精進を重ねている。その真摯な姿勢と、持ち前の明るいキャラクターは、多くの人々を惹きつけてやまない。

SNS（XやFacebookなど）を通じて積極的に情報発信を行い、ファンとの交流を大切にする一面も持つ。高座情報はもちろんのこと、日々の出来事や落語への思いなどを綴り、自身の人間性を垣間見せている。これにより、ファンは彼の落語だけでなく、その人柄にも触れることができ、より一層応援したいという気持ちを抱くようになる。

上方落語界における次世代を担う一人として、桂福枝への期待は大きい。彼のユニークな個性と、伝統を受け継ぐ確かな技量が融合することで、今後どのような高座が生まれてくるのか、その歩みから目が離せない。

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