桐 (松型駆逐艦)

松型駆逐艦「桐」：激動の太平洋戦争と戦後の軌跡

「桐」は、日本海軍が太平洋戦争末期に運用した松型駆逐艦（丁型）の6番艦です。本艦は、日本海軍において2代目「桐」にあたります（初代は、大正時代の二等駆逐艦「樺型」10番艦）。1944年（昭和19年）8月14日、横須賀海軍工廠で竣工しました。

建造から訓練まで

「桐」は、仮称艦名第5486号艦として1944年（昭和19年）2月1日に起工、5月27日に進水し、「桐」と命名されました。竣工後、川畑誠少佐が艦長に就任し、訓練部隊の第十一水雷戦隊に編入されます。瀬戸内海で訓練を行い、出撃の準備を整えました。

レイテ沖海戦

1944年（昭和19年）10月10日、第三十一戦隊第43駆逐隊に編入された「桐」は、10月17日に開始されたレイテ沖海戦に参加します。小沢機動部隊に所属し出撃しましたが、10月24日に燃料不足となり、「杉」とともに引き返しました。この時、「桐」は米軍機動部隊を誤認し、反転離脱したという逸話も残っています。高雄、奄美大島で燃料補給を行い、10月30日に呉に帰投しました。

南西方面作戦

11月上旬、「桐」は第四航空戦隊、第三十一戦隊と共に内地を出撃、馬公、南沙諸島を経由してマニラに進出しました。ブルネイから内地に戻る第一遊撃部隊の護衛任務にも従事しました。この期間、「桐」は馬公港内で強風により座礁するアクシデントも経験しています。第一遊撃部隊護衛任務中に、「金剛」と「浦風」が米軍潜水艦の攻撃で沈没する事態を目の当たりにし、艦長は深い悔恨の念を抱いたと伝えられています。

レイテ島オルモック湾での戦闘

12月、レイテ島西岸オルモックへの輸送作戦である第九次多号作戦に参加した「桐」は、12月12日未明、アメリカ軍駆逐艦と交戦しました。その後、空襲により「夕月」が沈没し、「桐」と「第140号輸送艦」は生存者の救助活動を行いました。この戦闘で損傷した「桐」は、1945年（昭和20年）1月上旬に内地へ帰投、呉海軍工廠で修理を受けました。

終戦とその後

終戦後、「桐」はソ連に賠償艦として引き渡され、「ヴォズロジュジョーンヌイ」と改名されました。その後、標的艦、工作艦として使用され、1969年12月20日に解体されました。

歴代艦長

「桐」の艦長には、川畑誠少佐をはじめとする多くの将官が就任しました。彼らの指揮の下、「桐」は激動の太平洋戦争を戦い抜き、その歴史に刻まれたのです。

まとめ

「桐」の艦歴は、太平洋戦争末期の日本海軍の激戦と、その後の混乱を象徴的に物語っています。数々の戦闘に参加し、幾多の困難を乗り越えた「桐」の足跡は、歴史の重要な一部として、後世に語り継がれるべきものです。数々の文献資料を基に、その詳細な艦歴を紐解いていくことで、当時の状況や人々の思いを深く理解することができるでしょう。 本稿が、日本の海軍史、ひいては太平洋戦争の歴史を理解する一助となれば幸いです。

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