桐原眞二

桐原眞二：文武両道の生涯と早慶戦復活への貢献

1901年8月22日、大阪府に生まれた桐原眞二は、類まれな野球の才能を持ち合わせていました。北野中学校時代から近畿地方屈指の遊撃手として名を馳せ、学校では人気者でした。

彼の高校時代は、後に著名な作家となる梶井基次郎とクラスメイトだったことが特筆されます。学業優秀で容姿端麗だった桐原は、梶井から深い憧憬の念を抱かれていました。梶井は自身の作品や日記の中で、桐原の美貌と温厚な性格を繰り返し描写しており、二人の交流は、梶井の創作活動にも影響を与えたと考えられます。

1919年、桐原は慶應義塾大学に進学。大学でもその野球の才能は開花し、走攻守の三拍子揃った選手として活躍しました。1924年には主将に就任。状況に応じて投手としてマウンドに立つこともありました。

当時中断していた伝統の一戦、早慶戦の復活に尽力したことも、彼の大きな功績です。早稲田大学の飛田穂洲監督と共に、慶應義塾大学のOBや大学当局を粘り強く説得し、1925年秋の早慶戦再開を実現させました。この活動は、両大学の野球部だけでなく、日本の大学野球界全体に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

大学卒業後は大阪毎日新聞に入社。経済記者として活躍し、後に経済部長に昇進しました。新聞社勤務のかたわら、大毎野球団でも選手としてプレーを続けました。

第二次世界大戦が始まると、桐原は応召され、比島軍報道部員として従軍します。そして、1945年6月10日、ルソン島の山中で戦死。43歳の若さでその生涯を閉じました。

彼の野球界への貢献は高く評価され、1984年には野球殿堂入りを果たしました。東京ドーム内にある野球殿堂博物館の戦没野球人モニュメントには、彼の名前が刻まれ、今もなお人々の記憶に留められています。

桐原眞二の息子は、毎日新聞学芸部編集委員の桐原良光氏です。

桐原眞二は、文武両道に秀でた人物でした。華々しい活躍の裏には、早慶戦復活への尽力や、戦地での最期など、多くのドラマが隠されています。彼の生き様は、後世に語り継がれるべき、貴重な歴史の一ページと言えるでしょう。彼の功績は、野球殿堂入りという形で永遠に記憶され、多くの野球ファンに敬愛されています。彼の名は、日本の野球史に燦然と輝き続けることでしょう。

参考文献

『梶井基次郎全集第2巻 遺稿・批評感想・日記草稿』筑摩書房、1966年5月
『梶井基次郎全集別巻 回想の梶井基次郎』筑摩書房、2000年9月
梶井基次郎『梶井基次郎全集 全1巻』ちくま文庫、1986年8月
大谷晃一『評伝 梶井基次郎』（完本）沖積舎、2002年11月

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