桑原裕義

桑原 裕義（くわばら ひろよし）は、1971年10月2日に広島県広島市で生まれた日本の元サッカー選手です。主にミッドフィールダー、特に守備的なポジションでプレーしました。

経歴

地元、広島県の広島工業高等学校を卒業後、大阪体育大学へ進学しました。大学時代には、1991年と1993年の2度にわたりユニバーシアードの日本代表に選ばれるなど、その実力を高く評価されました。また、バルセロナオリンピックのアジア予選候補にも名を連ねています。この時期、代表チームのスタッフとして関わっていたサンフレッチェ広島のチームドクターとの出会いがきっかけとなり、プロの世界への扉を開くことになります。

1994年、サンフレッチェ広島に入団。プロ同期には大西貴や下田崇らがいました。加入初年度は残念ながら体調不良（潰瘍）に見舞われ、公式戦での出場機会を得られませんでしたが、翌1995年には当時の指揮官ビム・ヤンセンによって抜擢され、開幕からピッチに立ちます。ディフェンスからミッドフィールドまで、様々なポジションをこなす順応性の高さを示しました。その後、エディ・トムソン監督の下で特に重要な選手として起用され、180cmの恵まれた体格を活かしたフィジカルの強さと tireless な運動量で、中盤だけでなくリベロとしても機能するユーティリティプレイヤーとしてチームに貢献しました。しかし、2001年にトムソン監督がチームを離れると、若手選手の台頭、特に森崎和幸の成長もあり、徐々に出場機会が減少していきました。

より多くの試合でプレーする場を求め、2004年にアルビレックス新潟へ移籍を決断します。これは、当時新潟を率いていた反町康治監督からの誘いも影響していました。新潟では、持ち前の広い視野と高い戦術眼で相手の攻撃の芽を摘む、守備能力に長けたボランチとして存在感を発揮しました。しかし、新潟がチームの若返りを推し進める方針を打ち出したことで、ベテランとなった桑原は年齢的な理由から2005年シーズン限りで契約満了となります。この際、J2クラブからのオファーがあり、具体的な交渉も進んでいましたが、最終的に年齢が障壁となり実現しませんでした。そんな状況の中、当時のチームメイトであった木寺浩一の紹介により、ニューウェーブ北九州（現在のギラヴァンツ北九州）の千疋美徳監督と出会います。

2006年、九州サッカーリーグに所属していたニューウェーブ北九州に加入しました。プロ契約選手の一人として、チームのプロ化を牽引する存在となります（チーム初のプロ契約選手とも言われています）。主力ボランチとして、チームの快進撃を支え、2007年のJFL昇格、そして2009年には念願のJ2昇格に大きく貢献しました。なお、2006年10月には短期間、中国サッカーリーグのファジアーノ岡山FCへレンタル移籍し、全国地域サッカーリーグ決勝大会で主軸としてプレーしています。

2010年、ギラヴァンツ北九州がJ2リーグに昇格した後も、佐野裕哉とコンビを組むなど、4-4-2システムのセンターハーフとしてチームにとって欠かせない心臓部の役割を担いました。翌2011年シーズンも守備の要として33試合に出場するなど、40歳という年齢を感じさせない活躍を見せましたが、このシーズン終了後、契約を解除されチームを退団しました。

その後、トライアウトに参加するなど現役続行の道を模索しましたが、選手生活にピリオドを打ち、2012年からはクラブのアンバサダーに就任しました。地域のファン獲得や支持拡大に向けた活動を行いましたが、1年でその任を終えました。

2013年には、かつてのチームメイトである久保竜彦や大木勉と共に、広島県社会人サッカーリーグ1部に所属する廿日市FCで一時的に現役復帰を果たしましたが、同年限りで二度目の引退となりました。

引退後は、広島市内で鉄なべ餃子店の店長として、新たなキャリアを歩んでいます。

エピソード

J1リーグ初ゴール: 2005年8月20日のJ1リーグ対ガンバ大阪戦で、プロキャリアで初めてとなるJ1でのゴールを記録しました。このゴールは豪快なミドルシュートによる先制点でしたが、実はこれがJ1出場244試合目での初得点でした。これは当時、ゴールキーパーを除く選手のJ1最遅初得点記録でしたが、後に阿部翔平によって更新されています。
40歳でのJリーグ出場: 2011年シーズンに40歳でJ2リーグに出場したことは、当時の現役Jリーガーの中では、三浦知良、中山雅史に次ぐ3番目の年長出場記録でした。

サンフレッチェ広島でのユーティリティ性、アルビレックス新潟での守備的ボランチとしての貢献、そしてギラヴァンツ北九州でのクラブの成長を支えた中心選手としての活躍など、長く多岐にわたるキャリアを築いた選手と言えるでしょう。

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