桑山健一

桑山 健一 - 京王電鉄の中興の祖

桑山健一（くわやま けんいち）は、1925年2月21日に東京都で生まれ、2010年12月30日に逝去した実業家です。彼は昭和・平成期に活躍し、京王帝都電鉄（現・京王電鉄）の第6代取締役社長として、その経営を劇的に改善したことで知られています。「リフレッシング京王」という企業イメージの刷新をスローガンに掲げ、京王グループの経営改革を推進したことから、「京王の中興の祖」と称されています。

来歴とその業績

桑山は1949年に早稲田大学専門部を卒業し、その後すぐに京王帝都電鉄に入社しました。当時の同社は東京急行電鉄（大東急）から独立したばかりであり、経営基盤が不安定で財務状況も良くありませんでした。特に経理部門の社員たちは、他の大手私鉄との比較において悔しい思いをしており、桑山自身もその一人でした。この経験が彼の情熱の源となり、仕事に対する取り組みを一層強める原動力となりました。

桑山は企画部長時代に社長の経営方針に疑問を持ち、非常にフランクにその意見を述べる姿勢を取りました。1971年に取締役に就任し、1977年には常務を兼任する形で京王ストア社長に就任しました。1986年には第6代社長に昇格し、その後は経営の引き締めを強力に推進しました。特にバブル経済のさなかでも、極めて慎重に投資を行った結果、会社は大きな影響を免れ、財務状況を改善することに成功しました。

桑山は「リフレッシング京王」と名付けたCI戦略を通じて、古くからの社紋や車両のカラーを刷新しました。新たなロゴやコーポレートカラーを導入し、企業イメージの向上に努めました。その結果、京王帝都電鉄の財務状況は優れたものとなり、業界内でも競争力が向上しました。

後世への影響

桑山は後継者として西山廣一（企業財務の専門家）を副社長に迎え、1993年には社長職を彼に譲り、取締役会長となりました。以降も1999年には相談役、2003年には最高顧問として京王グループに影響を与え続けました。また、他の多くの企業でも社外取締役として活躍し続けました。彼の業績は1999年に勲二等瑞宝章の受章に結びつきました。

逸話と業界への影響

桑山が社長だった頃の京王線では、やはり新宿駅から調布駅までの複々線化が考えられていましたが、最終的にはこの計画が白紙撤回され、通勤電車の10両編成化へと方向転換されました。これは将来的な沿線人口の予測を踏まえたもので、過度な投資を抑えるための賢明な措置でした。また、東京都交通局からの改軌要請に対し、費用対効果の観点から慎重に判断し、提案を拒否したこともあります。これらの決定は、会社と地域の経済に大きく寄与するものとなりました。

桑山健一は、京王電鉄の発展だけでなく、社会全体への貢献も惜しまず、彼の存在は今でも多くの人々の記憶に残っています。彼の経営に対する独自のビジョンや判断力は、後世にわたって多くの学びを提供し続けるでしょう。

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