桑島正美

桑島 正美 - 日本のカーレーサー

桑島正美（くわしま まさみ）、1950年9月14日生まれ、埼玉県出身の元カーレーサーです。彼は1970年代に国内外のレースで卓越した才能を発揮し、「黒い稲妻」という異名で知られています。

略歴

桑島は1969年に不動産業を営む父の支援を受けて、富士フレッシュマンレースでカーレーサーとしてのキャリアをスタートさせました。彼は黒いヘルメットに黒塗りのフェアレディZ432を駆り、ワークスマシンに劣らないパフォーマンスを披露し、その走りから「黒い稲妻」と称賛されました。

1970年には、柳田春人と共にブラジル・インテルラゴスでのレースに招待選手として出場しました。このレースではエマーソン・フィッティパルディが優勝しましたが、桑島はこの経験を契機に海外レースへの挑戦を決意しました。1972年にはイギリスに渡り、自らプライベートチームを結成。イギリスF3選手権に参戦し、シルバーストンでのレースでは見事に優勝を果たしました。

翌1973年にはフランスF3選手権にも参加し、モナコGPの前座レースで一時3位を走行するなど注目を集めました。イギリスF3の競技者には後にF1世界選手権に名を連ねるトム・プライスやジェームス・ハントなどがいて、彼らとの競争は桑島の成長を助ける機会となりました。

1974年にはヨーロッパF2選手権へ進出し、パトリック・デパイエやジャック・ラフィーといった強敵と競い合います。この年、富士スピードウェイで行われたF1デモ走行にてブラバムに乗ることができましたが、彼の進出は1975年に資金面が厳しくなったため、ヨーロッパでの挑戦を終え、日本国内のレースに焦点を移しました。

桑島は富士グランチャンピオンレースや全日本F2選手権などに参戦し、スタイルと甘いマスクでファンの人気を集めました。また、映画『爆発! 暴走遊戯』への出演や音楽活動も行い、芸能人との交流が話題となる一面もありました。

1976年、日本で初めて開催されたF1世界選手権に出場する計画を立て、ウィンライターの支援を受けつつ、RAMからブラバムのマシンを借りる交渉をします。しかし、スポンサーのトラブルにより予選を中止せざるを得ず、F1デビューは果たせませんでした。

引退と私生活のトラブル

1979年、桑島は覚醒剤取引に関与したとして摘発され、競技ライセンスの3年停止処分を受けます。覚醒剤取引の経緯については、知人が彼に依頼し、会社経営者を紹介したことが事態を大きくしたといいます。桑島は自身が仲介役でありながら、名声のある人物であったことから世間に注目される結果となったと説明しています。

その後、桑島の復帰を支援する声もありましたが、彼自身が覚醒剤中毒となり、療養が必要になったり、暴力沙汰を起こしたことから、復帰は実現しませんでした。

桑島はその後、更生を目指し、家庭を持ち、調理師免許を取得するなど新たな道に進みました。さらに、いくつかの事業にも関与しました。

復帰の兆し

2012年6月、桑島は「第47回SHCC大磯ミーティング」にゲストとして招かれ、33年ぶりにレーシングカーをドライブしました。この時、F1マシンに触れるのは1976年以来のことでした。また、同年11月にはJAFグランプリ 富士スプリントカップで行われたレジェンドカップにも参加し、彼の存在感は消えていませんでした。

桑島正美は、華々しい成功と同時に、波乱に満ちた私生活を送ったカーレーサーとして、今も多くの人々の記憶に残っています。

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