桑野議

桑野 議（くわの はかる）

桑野議氏は1949年5月5日に福岡県北九州市で生まれました。プロ野球選手として外野手、一塁手としてプレーした後、コーチや監督として指導者としても活躍した人物です。

少年時代を大阪市鶴見区で過ごし、大阪市立緑中学校の野球部に所属。この頃からプロ野球選手になることを強く志し、南海ホークスファンでした。

高校は福岡県の九州工業高校に進学。ここでは投手としてマウンドに上がり、同期の奥宮種男選手とバッテリーを組みました。高校時代の野球生活では、たびたび強豪・小倉工業高校と対戦。特に、1967年夏の甲子園県予選決勝では、再び小倉工と相まみえ、相手エース横山晴久投手との投げ合いとなりましたが、0対3で完封負けを喫し、惜しくも甲子園出場は叶いませんでした。

高校卒業後の1967年、同年のドラフト会議で5位指名を受け、阪神タイガースに入団します。同期には、後に「代打の神様」と呼ばれる川藤幸三氏がいました。高校時代は投手でしたが、阪神ではその打撃センス（高校通算打率.380）や強肩、俊足を高く評価され、プロ入り後に外野手へと転向しました。

プロ入り後、1971年には一軍に定着し70試合に出場。この年、リードオフマンとして期待され1番打者としても起用されましたが、十分な結果を残せず、一時期は出場機会が減少するなど低迷を経験します。

しかし、練習を重ね、1975年には勝負どころで起用される代打の切り札としてチームに不可欠な存在となっていきました。特に1975年5月には、その勝負強さを発揮。5月15日の広島戦では、榊原良行選手の代打で相手投手佐伯和司氏から実に4年ぶりとなる本塁打を放ちました。さらに5月20日には、ウエスタン・リーグで決勝逆転2ランを放つと、その日の夜の一軍広島戦にも出場し、望月充選手の代打で再び佐伯和司氏から決勝打を放つという活躍を見せました。外野手としても出場し、1975年は左翼手として15試合、1976年には17試合に先発しています。

1978年以降は徐々に出場機会が減少し、1981年のシーズン終了後に現役を引退しました。

引退後は、阪神タイガースで指導者・スタッフとしてチームを支えました。二軍打撃コーチを通算3期（1982-1987年, 1989年, 1996年）務め、スコアラーとしても通算8期（1988年, 1990-1995年, 1997年）チームをサポートしました。

阪神退団後も野球への情熱は続き、社会人野球のニチダイで指導者の道を歩みました。2002-2003年はコーチとして西垣一監督を支え、2004年からは監督に就任。監督時代の2005年途中からは野田浩司氏が投手コーチとして加入しました。桑野監督のもと、ニチダイは大きく飛躍。2004年には創部初の日本選手権、2006年には都市対抗野球大会への出場を成し遂げるなど、社会人野球界でも確かな手腕を示しました。

主な記録

初出場：1968年10月3日 対広島東洋カープ戦（広島市民球場）、9回表に代打として出場し三振
初安打：1968年10月10日 対中日ドラゴンズ戦（阪神甲子園球場）、山中巽投手から単打
初先発出場：1970年8月6日 対ヤクルトアトムズ戦（明治神宮野球場）、1番・中堅手として出場
初本塁打：1971年6月26日 対ヤクルトアトムズ戦（明治神宮野球場）、7回表に代打として出場し松岡弘投手からソロ本塁打

背番号

40 （1968年 - 1973年）
17 （1974年 - 1981年）
76 （1982年 - 1987年）
75 （1989年）
* 77 （1996年）

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