桔餅

沖縄の伝統菓子、桔餅（きっぱん）

沖縄県を代表する伝統菓子の一つに「桔餅（きっぱん）」があります。「ちっぱん」と呼ばれることもあります。「きっぱん」という読み方が古くから用いられてきたとされています。

桔餅は、クニブ（九年母）やカーブチーといった柑橘類の果実を、砂糖でじっくりと煮詰めて作られます。その独特の製法と、上品な甘さが特徴です。

その歴史は古く、琉球王朝時代、1731年頃に中国から伝来したとされています。当初は王家においてのみ、その製法が受け継がれていました。その後、謝花家が伝統を受け継ぎ、戦前から桔餅の製造を始めるようになりました。現在では、沖縄の伝統菓子として広く親しまれています。

桔餅は、他の沖縄菓子とも密接に関連しています。例えば、闘鶏餃（トーキージョー）や鶏卵糕（チーイーターケー）といったお菓子の材料としても用いられています。

王朝時代の製法では、柑橘類の実の形を残し、種と果汁を取り除いた後に、砂糖で衣を付けることはありませんでした。しかし、いつしか砂糖の衣で覆う製法が一般的になったようです。

桔餅の製法は、独特の工程を経て完成します。まず、柑橘類の実の表面の皮を剥き、果汁を絞り取ります。その後、皮を細かく刻んで、砂糖と共に長時間煮詰めます。そして、直径約5センチほどの餅状に丸めて乾燥させます。最後に、真っ白な砂糖を表面にまぶして仕上げます。

サーターアンダーギー、ちんすこう、鶏卵糕など、沖縄の多くの伝統菓子と同様に、桔餅も中国の影響を強く受けているお菓子です。その歴史と製法、そして独特の風味は、沖縄の豊かな食文化を象徴するものです。

桔餅は、沖縄を訪れた際にはぜひ味わっていただきたい、貴重な伝統菓子です。その上品な甘さと独特の食感は、きっとあなたを魅了するでしょう。一口食べれば、沖縄の歴史と文化が感じられる、そんなお菓子です。

近年では、伝統を守りながら、新たなアレンジを加えた桔餅も登場しています。例えば、柑橘の種類を変えたり、砂糖の種類を工夫したりすることで、様々なバリエーションが生まれています。

桔餅は、沖縄の伝統を伝えるだけでなく、現代の食文化にも貢献している、大切な存在と言えるでしょう。その歴史と味を、これからも大切に受け継いでいきたいものです。

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