桜の木の下

aikoメジャー2ndアルバム『桜の木の下』：詳細解説

2000年3月1日、aikoのメジャー2ndアルバム『桜の木の下』がポニーキャニオンより発売されました。前作『小さな丸い好日』から約11ヶ月ぶりとなる本作は、aikoのキャリアにおいて、そして日本の音楽史においても重要な位置を占める作品です。

ミリオンヒットと様々な限定盤

『桜の木の下』は、発売後瞬く間に人気を博し、2000年5月1日付オリコン週間アルバムチャートで売上枚数100万枚を突破、aiko自身初のミリオンセラーアルバムとなりました。これはaikoのアルバム作品の中で、現在も最高の売上枚数を誇る記録です。

アルバムの初回限定盤は、通常盤とは異なるジャケット写真が表裏両面にデザインされ、さらにカラートレイ仕様という、当時としては凝った仕様となっていました。ジャケット写真が初回盤と通常盤で異なるのは、本作が初めてのことでした。

また、ボーナス・トラックとして収録された「恋愛ジャンキー」は、歌詞カードには記載されておらず、通常盤ではCD帯の裏面、初回限定盤ではカラートレイの下に表記するという、独特な仕様がとられていました。これは、制作段階で曲順をどのように構成しても、この曲がうまく収まらなかったため、この形になったと言われています。

さらに、初回盤（再発盤、復刻盤を含む）と通常盤初期流通品の歌詞カードには、「悪口」の歌詞に誤植があったことも知られています。

その後、2005年には高音質のSACD（スーパーオーディオCD）として再リリースされ、2008年にはメジャーデビュー10周年を記念して、ジャケットデザインを変更（タイトル文字の色を白から赤に変更）し、オリジナルステッカーが封入された復刻版が発売されました。そして、2023年にはLPレコード盤がリリースされ、現在も幅広いフォーマットで聴くことができます。

楽曲解説：多彩なタイアップと個性あふれる10曲

アルバムには、「桜の時」「花火」「カブトムシ」といった代表的なシングル曲に加え、個性あふれる全10曲が収録されています。

愛の病: アルバムの幕開けを飾る、aikoの繊細な歌声が光る楽曲。
花火: 3rdシングル。テレビ朝日系列『激マジ!!〜ティーンのホンネ〜』エンディングテーマ、サークルK「冷やし中華」CMソング、テレビアニメ『まっすぐにいこう。』エンディングテーマなど、多くのタイアップに起用されました。
桜の時: 5thシングル。「カルピスウォーター」TV-CMソングとして親しまれました。
お薬: フジテレビ系列「晴れたらイイねッ!」オープニングテーマ。清涼飲料水のタイアップ話が持ち込まれたものの、曲名から見送られたというエピソードも有名です。
二人の形: 心温まる歌詞とメロディーが印象的です。
桃色: 4thシングル『カブトムシ』のカップリング曲。NTTドコモ「Docomo502i」TV-CMソングとして使用されました。
悪口: aikoの素直な感情が表現された、ストレートな楽曲。
傷跡: 切ないメロディーと歌詞が共感を呼ぶ、聴きごたえのある楽曲です。
Power of Love: インディーズアルバム『astral box』にも収録された、初期からのファンには馴染み深い楽曲。
カブトムシ: 4thシングル。TBS系『COUNT DOWN TV|COUNT_DOWN_TV』1999年12月度エンディングテーマ、フジテレビ系列5局ネット「ジョビれば⁉」エンディングテーマに起用されました。
* 恋愛ジャンキー（えせボーナストラックちっく）: アルバム本編とは異なる形で収録されており、CDでは「カブトムシ」演奏終了後、無音区間を経て開始されます。配信版ではトラックが分割されていますが、アナログ盤では通常の11曲目として収録されています。

参加ミュージシャン

アルバムには、aiko自身に加え、数多くの実力派ミュージシャンが参加しています。島田昌典氏によるピアノ演奏、河村智康氏、佐野康夫氏、松永俊弥氏など、豪華なメンバーによる演奏は、アルバム全体のクオリティをさらに高めています。

発売形態とまとめ

『桜の木の下』は、SACD盤とアナログ盤を除き、全ての仕様で品番、発売日が同一となっています。また、初回限定盤が完売した後、コンサート会場で再発盤が販売されていた時期もありました。

『桜の木の下』は、aikoの音楽性と才能を余すことなく示した、記念碑的作品と言えるでしょう。ミリオンセラーという輝かしい記録、様々な限定盤、そして多くのタイアップ曲など、様々な側面から、その人気と影響力の大きさを伺い知ることができます。

もう一度検索