桜井万里子

櫻井万里子（1943年7月26日生まれ）は、日本の著名な歴史学者であり、特に古代ギリシア史の研究で知られています。東京大学で博士号を取得後、長年にわたり教鞭を執り、東京大学名誉教授の称号を得ています。また、ロンドン大学キングズ・カレッジの客員教授も務め、国際的な研究活動も展開しています。

櫻井氏の研究の特徴は、従来の歴史研究では必ずしも注目されてこなかった、女性やメトイコイ（在留外国人）といった人々に光を当てた点にあります。彼女がこれらのテーマに関心を持つようになった背景には、スタンフォード大学の客員研究員としてカリフォルニアに滞在した経験があります。異文化に触れる中で、自身の研究テーマを見つめ直すきっかけを得たと述べています。

学歴と職歴

1962年3月：東京都立両国高等学校卒業
1966年3月：国際基督教大学教養学部人文学科卒業
1968年3月：東京教育大学文学部西洋史学科卒業
1971年3月：東京大学大学院人文科学研究科西洋史学専門課程修士課程修了
1971年4月：東京大学文学部助手
1973年8月：北海道大学文学部助手
1978年4月：東京学芸大学教育学部専任講師
1980年10月：同助教授
1981-2年：スタンフォード大学古典学科客員研究員
1992年4月：同教授
1996年4月：東京大学大学院人文社会系研究科西洋史学専攻教授
2004-5年：ロンドン大学キングズ・カレッジ客員教授
2006年：退職、名誉教授

主な著作

櫻井氏は、数多くの著作を通じて、古代ギリシア社会の実態を鮮やかに描き出しています。代表的な著作としては、以下のようなものがあります。

『古代ギリシアの女たち アテナイの現実と夢』：古代アテナイにおける女性たちの生活や意識を描き出し、彼女たちが置かれた社会的な制約や、その中でどのように生きていたのかを考察しています。
『古代ギリシア社会史研究』：櫻井氏の博士論文を基にした研究書であり、古代ギリシア社会の構造や変遷を詳細に分析しています。
『ソクラテスの隣人たち アテナイにおける市民と非市民』：ソクラテスが生きた時代のアテナイ社会に焦点を当て、市民と非市民の関係や、社会における多様性の重要性を論じています。
『ヘロドトスとトゥキュディデス―歴史学の始まり』：古代ギリシアの歴史家であるヘロドトスとトゥキュディデスの業績を解説し、歴史学の成立過程を明らかにしています。
『いまに生きる古代ギリシア』：古代ギリシアの文化や思想が、現代社会にどのように影響を与えているのかを考察しています。

これらの著作は、古代ギリシア史研究における重要な貢献として高く評価されています。

学外における活動

櫻井氏は、研究活動に加えて、日本学術会議の会員を務めるなど、学術界の発展にも貢献しています。その知見と経験を活かし、幅広い分野で活躍しています。

櫻井万里子氏の業績は、古代ギリシア史研究に新たな視点をもたらし、社会史研究の可能性を広げたものとして、今後も高く評価され続けるでしょう。

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