桜井孝雄

桜井孝雄の生涯と功績

桜井孝雄（さくらい たかお）は、1941年9月25日に千葉県佐原市（現・香取市）で生まれた元アマチュアボクシング選手でありプロボクサーでもある。彼は1964年の東京オリンピックにおいてバンタム級の金メダリストとなり、日本アマチュアボクシング界において非常に重要な存在となりました。

アマチュア時代の成長

桜井は幼い頃から体を動かすことが好きで、野山を駆け回る生活を送っていました。この経験が後にボクシングのセンスを育むことになります。地元の千葉県立佐原第一高等学校でボクシングを選択し、1960年にはインターハイで優勝。その成果から中央大学ボクシング部に進学しました。2年先輩には、ボクシングで初めて五輪メダルを獲得した田辺清がいました。桜井は1963年の全日本アマチュア選手権でも優勝を果たし、名声を高めました。

1964年、桜井は東京オリンピックのバンタム級に出場し、見事金メダルを獲得。決勝では韓国の選手に対し2回TKO勝ちを収め、大きな感動を呼び起こしました。この時、彼は感情をよく表に出さず、「水を飲んでいないから涙も出ない」と独自の哲学を披露しました。アマチュア時代の戦績は155戦138勝（45KO・RSC）13敗という素晴らしいものでした。

桜井はオリンピック出場前から三迫ボクシングジムで練習をしていましたが、アマチュアとプロの間では情報の行き来が少なく、桜井もそのことを悩んでいました。プロへの転向を考えつつ、中央大学職員としての就職も内定していましたが、報道がきっかけで大学側の反発を受けることとなり、最終的にプロボクサーとして活動する道を選びました。

プロボクシングへの挑戦

桜井は1965年に三迫ジムからプロデビューし、契約金として500万円を受け取りました。日本ランカーに対する初戦を勝利で飾り、その後も順調なスタートを切りました。1968年には、名だたる選手ライオネル・ローズに挑戦します。試合中には主導権を握る場面も多かったものの、桜井の消極的なスタイルが影響し、最終的にはマジョリティ判定負け。ここから彼の「安全運転」スタイルが周囲に広まることになります。

その後、桜井はOBF東洋バンタム級王座を獲得し、2度の防衛に成功。しかし、その後は再び世界タイトル挑戦の機会をつかむことはなく、彼自らもそのスタイルに疑問を持ちながら現役を引退しました。引退後はトレーナーとして活動し、ボクシング界に貢献しました。

引退後の活動と晩年

引退後は一時的にボクシング界から離れ、不動産業に従事しましたが、再びボクシングに関わることを選び、1996年に自身のジムを設立。金メダリストとしての経験を活かし、多くの選手を指導しました。2000年にはキューバのボクシングチームが訪問するなど、国際的な交流もありました。また、桜井はアマチュアボクシング界の発展を強く願い、競争の重要性を説く姿勢を持ち続けました。

2011年、桜井は食道癌と闘うことになり、余命を告げられながらも勇気を持って日々を過ごしました。彼の人生観は、彼自身のボクシングスタイルにも反映されていました。2012年1月10日、桜井は千葉県船橋市の自宅で息を引き取りました。その生涯は、彼のボクシングに対する情熱と冷静さを象徴するものであり、今でも多くの人々に記憶されています。

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