桜井由躬雄

桜井由躬雄の業績と影響

桜井由躬雄（さくらい ゆみお）は、日本の歴史学者として、特に東南アジア史の分野で著名な存在です。1945年1月31日に福井県敦賀市で生まれた彼は、東京大学で東洋史学を学び、1967年には卒業を果たしました。その後、博士課程へ進みましたが、1977年には学位を取得することなく大学院を退学していますが、彼のキャリアはその後も順調に進展し、京都大学で助教授としての職を得ました。

1989年には「ベトナム村落の形成：村落共有田=コンディエン制の史的展開」という学位論文を提出し、東京大学から文学博士号を取得。その後、1990年に東京大学文学部の助教授に就任し、その2年後には農学博士号も取得しました。1994年には教授に昇進し、2003年にはベトナム国家大学から名誉科学博士号が授与されるなど、彼の学問的な業績は国際的に評価されることとなります。

桜井氏はまた、東南アジア学会の会長を2005年から2006年まで務め、2007年に東京大学を定年退職しましたが、以降も放送大学や京都大学、ベトナム国家大学で教鞭を執りました。感じやすい人柄と専門知識から、彼は多くの学生に愛され、彼の死後、東京、京都、ハノイで行われた三度の追悼会には多くの人々が集まりました。彼は2012年12月17日に67歳で亡くなりました。

受賞歴と業績

彼は2003年にベトナム社会主義共和国大統領から友好徽章を授与され、2009年には第1回ベトナム学賞を受賞しました。特に注目すべきは、地域を総合的に理解する「地域学」の形成に向けて「アジア農村研究会」が設立された際に、桜井氏が助言や指導を行ったことです。彼の旧蔵書2112点は東京大学附属図書館アジア研究図書館に「桜井由躬雄文庫」として収められ、後進の学びの場として役立っています。

桜井氏の著作も非常に多岐にわたり、単著として『ベトナム村落の形成―村落共有田＝コンディエン制の史的展開』や『ハノイの憂鬱』『米に生きる人々―太陽のはげまし、森と水のやさしさ』などがあります。また、彼は共著や編著としても多くの書籍を手掛け、特に「岩波講座東南アジア史」や「もっと知りたいベトナム」といったシリーズに寄与しました。さらには、翻訳書としてジョルジュ・セデスの『インドシナ文明史』も挙げられます。

まとめ

桜井由躬雄は、その卓越した学識と人材育成の姿勢で、多くの後輩に影響を与えました。彼の業績は、東南アジアの歴史研究において今なお重要な位置を占めており、学問の発展に貢献した偉大な学者として、永遠に記憶されることでしょう。

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