梅津・何応欽協定

梅津・何応欽協定について

梅津・何応欽協定（うめづ・かおうきんきょうてい）とは、1935年6月10日に天津で締結された、日本軍司令官梅津美治郎と北平軍事分会委員長何応欽の間の一連の合意を指します。この協定は、当時の中国と日本の間での緊張した外交関係の中で生まれました。

背景

1935年5月2日夜、日本租界内で反国民党的な立場を持つ新聞社社長が暗殺される事件が発生しました。この事件は、藍衣社と呼ばれる反国民党組織によるもので、親日本を意識した活動をしていた2名が狙われたものです。この暗殺により、日本軍当局はこの事件を利用し、反満抗日勢力に対して強硬な姿勢を取る口実としました。

匪賊討伐とその後

その後、約1000名の匪賊団が熱河省で活動し、関東軍はこれを掃討するために非武装地帯に進出しました。この動きは、藍衣社との関連性が指摘された中国側の保安隊による庇護の影響もありました。日本側は、乱れの原因を中国政府に求め、何応欽との交渉に入ります。

協定成立の経緯

梅津司令官は何応欽との会談を重ね、河北省政府に対する一連の要求を持ち込みました。その中には、重要な責任者の罷免や反日団体の撤廃が含まれました。日本側は、強硬な態度を崩さず、同時に中国側に圧力をかけていきます。特に、河北省内の一切の党部の廃止や日本軍の撤退を求める内容が重要視されました。

中国側の反応

中国政府は一時的に、中央軍を華北から撤退させる決定を下しますが、これは日本軍の圧力を受け入れた形となりました。それに続く6月10日の会談では、何応欽が日本側の要求に応じる姿勢を示しましたが、文書化を避ける方向性を選びました。何応欽は、将来の内政干渉を懸念し、実行承諾があくまで自発的である必要があるとし、日本側の希望を受け入れつつも、厳密な合意という形にはならないとしました。

最終的な展開

6月12日を期限とした日本側の要求に対し、中国側は一部承諾するものの、正式な調印には至らず、以降の交渉も難航しました。最終的には、協定は文書化されることなく、日本側は実際の進展を期待して圧力を続けるも、中国側は「協定は存在しない」との立場を維持しました。この経緯は、当時の日中関係の根深い対立を示す一例となっています。

この協定は、後の日本の対中政策や戦争の進展にも影響を与え、その歴史的重要性を持っています。梅津・何応欽協定の成立は、日本と中国の緊張関係が具体的な形で反映された瞬間と言えるでしょう。

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