梅津只圓

梅津只圓の生涯とその功績

概要

梅津只圓（うめづ しえん）は、幕末から明治にかけて活躍した喜多流の能楽師であり、福岡市で生まれました。彼は幕末の重要な文化人物として、また夢野久作の小説『梅津只圓翁伝』の主人公として知られています。文化14年（1817年）4月17日に生まれ、明治43年（1910年）に亡くなるまで、能楽の発展に寄与しました。通称は源蔵、改名後の諱は利春です。

幼少期と初期の活動

梅津只圓は、福岡藩に仕える能楽師の長男として育ちました。幼少期の名前は政之進であり、藩主の命によって利春と名付けられました。彼は天保3年（1832年）に喜多流の名匠である喜多六平太能静の弟子となりました。

喜多流への道

彼は1844年と1848年に二度上京し、喜多六平太から直接指導を受けることができました。継父として家督を受け継ぎ、嘉永5年（1852年）には自宅で「翁」を初披露しました。これにより、藩主からの信任を受け、能楽師としての活動を本格化させました。また、長知の進祝行事や水鏡天満宮の250周年記念に能楽を披露するなど、地域のイベントにも積極的に参加しました。

明治時代での成長

明治元年（1868年）、長知の上京に同行し、京都での能楽の披露など活動範囲を広げました。明治2年には東京に到着し、能楽を通じて多くの人との交流が始まります。非番の日には、喜多家でさらなる技術を身につけることに努めました。この時期には「道成寺」や「石橋」など重要な作品を学んでいきました。

後半生と家族

明治元年から明治12年（1879年）までに、梅津は長男に家督を譲り、只圓と名乗りますが、この後間もなく長男を失うという辛い経験もしました。彼は明治13年（1880年）に上京し、度々能楽を披露し、多くの門弟に指導しました。明治38年（1905年）には義理の甥を養子とし、家督を譲りますが、明治41年（1908年）頃から身体を崩し、明治43年（1910年）に急死しました。

記念碑とその後の栄誉

梅津只圓が死去した後、昭和8年（1933年）に彼の墓が累代の墓に移され、その功績を称えるために銅像が建てられることになります。この銅像は、戦争の影響で一時供出されたものの、1988年に再建されました。現在は、福岡市の大神月極駐車場内に「梅津只圓先生之碑」が設置されています。

影響を受けた家族

梅津家は伝統的な芸事を継承してきた家系であり、梅津只圓も多くの子孫にその影響を与えました。彼の家族には、母、姉、弟、さらに数人の養子が含まれており、彼の芸術が次世代にまで受け継がれています。梅津只圓の影響力は現在にも及んでおり、彼の死後もその足跡は多くの人々に語り継がれています。

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