梅津政景

梅津政景

梅津政景（うめづ まさかげ）は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての武将であり、出羽国久保田藩（後の秋田藩）の家老として活躍しました。その多岐にわたる功績は、藩の発展に大きく貢献しました。

生涯と経歴

梅津政景は、兄の梅津憲忠とともに佐竹義宣の茶坊主として仕え、金阿弥と名乗っていました。その後、蓄髪して主馬と改名し、算用や文筆に秀でていたことから能吏として頭角を現しました。主に藩の行政面で活躍しましたが、馬術にも長けており、武将としての才能も兼ね備えていました。

1602年、佐竹家が出羽秋田に移封されると、政景もこれに従い、久保田藩の創設に尽力しました。兄と共に家老や勘定奉行といった要職を歴任し、藩の運営を支えました。1615年には大坂夏の陣にも参戦しています。

銀山奉行としての活躍

政景の功績として特筆すべきは、銀山奉行としての手腕です。秋田に移封されて5年後、雄勝郡院内に銀山が開拓されましたが、当初は無法地帯と化し、産出量も伸び悩んでいました。そこで政景は、渋江政光の提言により銀山奉行に任命され、治安の回復と銀山の整備に尽力しました。彼の施策により、銀山の治安は徐々に回復し、産出量も増加しました。これにより、久保田藩は莫大な金銀を産出するようになり、文字通りの黄金時代を迎えることとなりました。政景は、その卓越した理財家としての評価を確立し、義宣からの信頼もより一層厚くなりました。

晩年と死

寛永年間に入ると、政景は家老に昇進し、兄・憲忠や渋江政光の弟・小場宣忠とともに藩政を主導しました。1633年に義宣が亡くなると、政景は重病を押して葬儀を指揮しましたが、そのために病状が悪化し、2ヶ月後に義宣を追うように亡くなりました。

『梅津政景日記』

政景が書き残した『梅津政景日記』は、当時の久保田藩の藩政や武士、庶民の生活を現代に伝える貴重な史料となっています。

岩堰用水路

政景は、知行地として与えられた比井野村（現在の能代市二ツ井町）の発展にも貢献しました。比井野村は米代川から離れた高台に位置していたため、水利が悪く、当初は15～16戸程度の寒村でした。そこで政景は、隣の藤琴村矢坂の藤琴川から用水路を引き、新田を開発しました。用水路の建設が困難な山岳部では、岩をくりぬきトンネルを掘るという難工事を成し遂げました。この用水路は「岩堰用水路」と呼ばれ、明治期に改修された後も現在まで使用されています。新田の開発により、比井野村は人口が増加し、石高も飛躍的に伸びました。政景は、その功績から大明神として岩関神社に祀られ、現在でも盛大な祭りが行われています。

梅津政景は、武将としてだけでなく、行政官としても優れた才能を発揮し、久保田藩の発展に大きく貢献しました。その業績は、後世にまで語り継がれています。

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