梅田穰

梅田 穰（うめだ ゆたか）は、日本の政治家。1947年（昭和22年）6月26日生まれ。熊本県山都町の町長を2期務めた。長年にわたり農業分野の要職を歴任し、地域の農業振興に深く関わった人物である。

経歴

熊本県立矢部高等学校を1966年（昭和41年）3月に卒業後、農業分野でキャリアを積む。1993年（平成5年）5月には矢部町農業協同組合の理事に就任した。その後も組織内で順調に昇進し、1998年（平成10年）5月には熊本矢部町農業共同組合の代表理事常務に就任。さらに2005年（平成17年）6月には上益城農業協同組合の代表理事組合長を務めた。

農業協同組合の中央組織でも活躍し、2011年（平成23年）6月には熊本県農業協同組合中央会の副会長に就任した。そして2014年（平成26年）6月30日、同会の会長に就任し、熊本県農業界のリーダーとして活動した。会長職は2016年（平成28年）12月31日まで務めた。

山都町長として

農業界での実績を経て、地方自治の世界に転身した。2017年（平成29年）2月26日に行われた山都町長選挙に立候補し、前町長の任期満了に伴う選挙戦で対立候補を破って初当選を果たした。

2021年（令和3年）2月28日には、自身の任期満了に伴う町長選挙で再選。元会社員の候補者を退け、2期目の任期を開始した。

しかし、2期目の任期中に体調を崩す。2023年（令和5年）12月31日に救急搬送され、脳梗塞と診断されたため、その後は療養生活に入った。これに伴い、山都町は2024年（令和6年）1月10日、梅田氏が職務に専念できない状況にあるとし、翌1月11日から楢林力也副町長が職務代理を務めることを発表した。

その後、公務への復帰を目指して治療に専念していたものの、長期にわたる町長不在は望ましくないとの判断に至り、2024年（令和6年）5月7日に町議会議長宛てに辞職願を提出した。この辞職願は受理され、同月27日付での辞職が正式に決定した。辞職に際し、町を通じて「公務復帰に向け治療に専念していたが、町長不在の継続は望ましくないと判断した」旨のコメントを発表している。

政策

山都町長として、地域経済の活性化と住民福祉の向上を目指した。主要な政策として、以下の点に取り組む方針を示した。

農林業の振興: 山都町産の農産物のブランド力向上と販路拡大を推進。農地の集約化や集落営農の推進による農業経営の効率化。林道や作業道の整備による農業・林業基盤の強化。
商工業・観光業の発展: 地域内の高速道路インターチェンジ（山都中島東IC、山都通潤橋IC）の供用開始・開設を機に、これに乗じた商工業・観光業の活性化を目指す。具体的には、店舗改修や商品開発への支援を通じて、地域経済の振興を図ろうとした。

ジョー・バイデン氏とのエピソード

梅田氏のフルネーム「梅田 穰」は、その音読みが「うめだ ゆたか」ではなく「ばいでん じょう」（本来の読み方ではないが、漢字の音読みとしては可能）と読めることから、アメリカ合衆国大統領ジョー・バイデン氏の氏名と類似しているとして、インターネット上で大きな話題となった。特にバイデン氏の当選確実の報が流れた際には、「ジョー・バイデンと同じ氏名の町長がいる」として注目が集まり、梅田氏のもとには祝福の声が多数寄せられたという。

この話題について、梅田氏は当初家族から聞くまで自身では気づいていなかったといい、突然のことに驚きと困惑を示しつつも、「遠からぬ縁を感じる」とコメントした。また、バイデン氏の当選を「自分事のようにうれしく思う」と祝福し、「米国大統領と『九州のへそ』山都町の町長という立場の違いはあるが、住民の幸せのために尽くす心意気は同じである」と述べた。さらに、このユニークな話題が山都町を知ってもらうためのPRに繋がる可能性についても言及した。このエピソードは日本国内に留まらず、ワシントンポストなどの海外メディアにも取り上げられ、国際的な注目を集めた。

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