梅花 (航空機)

梅花（ばいか）

梅花は大日本帝国海軍が太平洋戦争中に計画した特殊攻撃機であり、その開発は1945年7月に始まりました。このプロジェクトは特攻兵器として位置づけられましたが、残念ながら設計が進行中であった1945年8月15日に終戦を迎えたため、計画は未完に終わりました。

開発の背景

1944年には、ドイツ空軍によってFi-103（V-1）が有人化され、対艦攻撃に使用されるFi-103Rライヒェンベルクという機体が開発されていました。この技術を受けて、大日本帝国海軍でも敵の上陸用舟艇を攻撃するための特攻滑空機の開発を始めました。川西航空機の藤井巧男技師が主導して開発に取り組んでいた頃、東京帝国大学航空研究所では中西不二夫博士がラムジェットエンジンの開発に着手していました。

1945年7月、小川太一郎博士らがラムジェットエンジンを搭載し、量産を見据えた特攻機の計画を提出したことが「梅花」の開発に繋がります。この新しい計画に基づいて設計は迅速に進められましたが、戦争の終結が近づく中、わずか1ヶ月後の8月15日に日本が敗戦を迎えることとなり、梅花の開発は中止されました。

計画の設計

梅花の計画では、パルスジェットエンジン（「カ10」）を背負い式に装備した単座機が考えられました。この機体は木金混合の素材で作られ、頭部には100〜250キロの爆弾を搭載し、敵の侵攻時に洞窟からカタパルトで発進して体当たり攻撃を行うという構想でした。初期の設計がシンプルであったことに加え、第一技術廠からの提案により、さらに簡易化が進められました。この簡易化には、脚やフラップを省略し、一般的な工具での製作が可能になるような条件が含まれていました。

また、降着装置は離陸後に投棄することが計画されており、パルスジェットエンジンの燃料には松根油（約600リットル）が使用可能であることも考慮されています。

梅花の諸元（推算値）

• - 全長: 7メートル
• - 全幅: 6.6メートル
• - 重量: 750キログラム
• - 全備重量: 1,430キログラム
• - 発動機: カ一〇 パルスジェット 推力300kg（V-1のアルグス As 014に相当）
• - 最大時速: 250ノット（463 km/h）
• - 航続力: 150海里（277.8 km）
• - 武装: 機首に250 kg爆弾
• - 乗員: 1名

結論

梅花は、大日本帝国海軍が戦争末期に考案した特殊な設計の機体であり、当時の技術水準と戦争の急激な変化を反映したものでした。けれども、戦争の終了に伴い、その計画は実現を果たすことなく、歴史の中に埋もれることとなりました。特攻兵器の中でも特異な存在であった梅花は、航空技術の進化と戦争の悲劇を併せ持つ一つの証として記憶されています。

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