梶田宙

梶田宙：四国アイランドリーグを彩った不屈の魂

梶田宙（かじた ひろし）は、1983年1月5日生まれ、愛知県出身の元プロ野球選手です。外野手として活躍し、2014年11月から2019年2月まで、四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスで球団社長を務めました。彼の野球人生は、アマチュアから独立リーグ、そして球団経営へと、多彩な経験に彩られています。

高校野球からのスタート

享栄高校時代、梶田は野球部でキャプテンを務め、3年生の2000年春には第72回選抜高等学校野球大会に出場しました。1番・センターとしてチームを牽引しましたが、初戦で敗退しました。

四国アイランドリーグでの挑戦

愛知大学経済学部卒業後、梶田は2005年に発足した四国アイランドリーグのトライアウトに合格し、高知ファイティングドッグスに入団しました。大学卒業後の進路は軟式野球チームに内定していたものの、トライアウトは「記念受験」のつもりだったそうです。しかし、リーグ開幕戦となった4月29日の対愛媛マンダリンパイレーツ戦で、2番・レフトとしてスタメン出場。初打席で安打を放ち、盗塁、さらに後続打者の安打でホームインと、リーグ戦初の安打、盗塁、得点を記録しました。初年度はリーグ優勝したチームで87試合に出場しました。

2007年には打率.293でリーグ7位となり、外野手部門のベストナインに選ばれました。梶田自身は引退後の取材で、このシーズンがNPBに進む「一番のチャンスだった」と振り返っています。

2009年には、5月から6月にかけて負傷で1ヶ月あまり離脱しましたが、チームは2度目の年間総合優勝と初の独立リーグ日本一（グランドチャンピオンシップ優勝）を達成。この年、リーグチャンピオンシップ第2戦、延長14回表に長崎セインツのランナーを本塁でアウトにし、チームのサヨナラ勝ちに貢献したプレーを、「一番の思い出」としています。

2011年、試合中に味方選手と接触し負傷。手術と入院を経て、一時自由契約となりましたが、リハビリを経て再登録されました。しかし、出場は13試合にとどまりました。

2012年以降は、リーグ発足当初から在籍する最後の選手となり、当初は3年程度のプレーを考えていたものの、高知での支援への感謝から、NPBへの挑戦が困難になった後もプレーを続けました。また、リーグ初の個人スポンサーがつくなど、球団側も人気選手として配慮した待遇をしていました。2012年にはキャプテンも務めました。

2013年のシーズン序盤は好調でしたが、5月中旬から約2ヶ月間練習生への降格を経験しました。

引退と球団社長への転身

2014年、リーグ在籍10年目を迎えた梶田は、2度目のキャプテンを務めました。指名打者での出場が増えましたが、リーグ通算最多出場記録を更新しました。9月6日には現役引退を発表。引退の理由として、「捕球能力や動体視力の低下」を挙げています。また、引退後に執筆した文章では、8月の試合で死球を受け、右手の指を骨折したことが引退を決意するきっかけになったと述べています。9月13日の対香川オリーブガイナーズ戦が引退試合となり、チームの最後の打者となりました。試合後には引退セレモニーが行われ、両チームの選手から胴上げされました。長年の功績を称え、球団は梶田の背番号「0」を永久欠番としました。これはリーグ初の永久欠番となります。

2014年10月29日、梶田は高知の球団社長に就任することが発表されました。元選手が球団社長に就任するのは独立リーグ初となります。社長を引き受けた理由として、自分を成長させてくれた高知への恩返しと語っています。

その後の活動

引退した年に高知で知り合った女性と結婚し、2017年の取材では「高知に骨をうずめる覚悟」と述べています。

2019年2月、球団社長を退任し、3月1日には、球団運営を新たに設立された株式会社高知犬に変更するとともに、梶田は高知犬の取締役に就任しました。

2020年6月時点では、「段ボール箱製造販売会社社員」として働いていると報じられています。

2021年9月11日、高知が12年ぶりとなる後期優勝を達成した際には、高知球団の事務所でネット速報により試合経過を見守ったそうです。

2022年3月31日に四国アイランドリーグplusが発表した球団及びリーグ各法人の経営状況報告では、高知球団（株式会社高知犬）の取締役の一人として名前が挙がっており、2023年、2024年時点でも同様です。

梶田宙の功績

梶田宙は、選手としてだけでなく、球団経営者としてもチームに貢献しました。彼の情熱と努力は、四国アイランドリーグの発展に大きな影響を与えました。また、地域への貢献、ファンへのサービス精神も忘れない、球界でも稀有な存在です。

詳細情報

年度別打撃成績
(具体的な成績は省略)

タイトル
ベストナイン：1回 （2007年（外野手部門））

背番号
0（2005年 - 2014年） ※高知ファイティングドッグスの永久欠番（2014年9月13日制定）

脚注
(注釈や出典は省略)

関連項目
高知ファイティングドッグスの選手一覧
稲葉大樹 (野球) - ベースボール・チャレンジ・リーグの通算最多出場記録者

外部リンク
現役時代のプロフィール掲載ページ
2006年～2009年当時の所属選手一覧
阿佐智による『週刊野球太郎』掲載記事

「【特別編】四国で10年戦った男・梶田宙引退。未来のNPB、元NPBの強者たちと一戦を交えてきた10年とは…」（2014年12月23日）
「【後編】四国で10年戦った男・梶田宙引退。新しい「野球文化」を育てた10年の思い出を語る！」（2015年1月6日）
「【角中、又吉、入野】四国で10年間で戦ってきた同志たちとの対戦を振り返る！」 （2015年2月17日）

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