棋士 (将棋)

棋士の概要

棋士（きし）とは、将棋を職業とするプロ棋士のことを指します。その多くは日本将棋連盟に所属し、対局を行ったり、棋戦に参加したりしています。棋士は通常「将棋指し」や「プロ棋士」とも呼ばれることがあります。また、女性棋士に該当する「女流棋士」や、アマチュアへの指導を行う「指導棋士」は、狭義の意味での棋士には含まれない点が興味深いです。さらに、囲碁のプロも「棋士」と称されることから、将棋棋士との区別が必要です。

歴史の沿革

棋士の歴史は江戸時代に遡ります。当時、将棋を指す人々は「将棋指し」と呼ばれました。その後、家元制度が成立し、大橋家や伊藤家などの家元が将棋の指導者となり、彼らによって収入を得るプロ棋士が生まれました。明治時代に入ると新聞に将棋が掲載され、居並ぶ棋士たちは新聞社との契約によって生活を支えるようになりました。

1924年には、将棋三団体が合併し「東京将棋連盟」が誕生し、さらに1927年には関西の団体も統合され「日本将棋連盟」となりました。この連盟の設立により、棋士たちの安定収入が保証されるようになり、職業棋士としての体系が整いました。

棋士の概念と称号

棋士の制度が確立されると、「専門棋士」という名称が用いられるようになりました。初めて「棋士」と名乗ったのは昭和に入ってからと考えられています。棋士は「氏名 段位」という形式で呼ばれるのが一般的であり、保持するタイトルによって呼称が異なります。特に竜王や名人といった重要なタイトルが優先され、例えば「氏名 竜王」という呼び方がなされます。さらに、永世称号や名誉称号を持つ棋士も存在します。

棋士番号制度

1977年から始まった棋士番号制度により、棋士には個々の棋士番号が付与されます。この番号は、棋士となった年月日や四段に昇段した日付に基づいて順番が付けられています。以降、新たに棋士となった者に順次番号が付与され、欠番も存在します。

所属と所属先の変更

棋士は東京の将棋会館か大阪の関西将棋会館のいずれかに所属し、その所属によっても対局地が分かれます。対局者が東西異なる場合、通常は序列の上位者の所属地で対局が行われますが、これは絶対的なルールではありません。また、棋士は任意で所属先を変更することも可能です。

棋士になるための道

棋士になる方法には、通常の新進棋士奨励会に入会するコースと、アマチュア選手から直接棋士に編入できる試験制度の二つがあります。新進棋士奨励会に参加するためには棋士の推薦や所定の試験に合格する必要があります。奨励会の中で段位を上昇させ、最終的に四段に昇段することで棋士となります。

一方、棋士編入試験制度は、アマチュア棋士や女流棋士が奨励会を経由せず直接棋士になる道を提供します。この制度により、棋士編入のチャンスが広がり、特に近年では注目を集めています。

収入源

棋士の主要な収入源は、棋戦に出場することで得られる対局料や賞金です。その他、将棋教室の運営や著書の印税、イベント出演などの活動も収入源として挙げられます。現代では、多くの棋士がYouTubeチャンネルを開設するなど新しい形態の活動が見られます。

棋士は将棋に情熱を注ぎつつも、さまざまな収入源を持ち、プロとしての活動を続けています。将棋の伝統を受け継いでいる棋士の姿勢は、将棋界のさらなる発展に貢献しています。

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