森下博 (競馬)

地方競馬のレジェンド、森下博騎手

森下博騎手は、1955年5月4日生まれの神奈川県出身。1973年11月、川崎競馬場でデビュー。初騎乗で初勝利という鮮やかなスタートを切りました。同期には、的場文男騎手、山崎尋美騎手らがいます。中学校時代の恩師が牧場出身だったことがきっかけで騎手を志したというエピソードも有名です。

デビュー当初は川崎・井上宥藏厩舎に所属。その後、長谷川茂厩舎に移籍し、2015年5月28日、長谷川師の引退に伴い、神奈川県騎手会に所属が変更となりました。

森下騎手は、その卓越した騎乗技術で数々の勝利を収めました。特に牝馬や短距離を得意とし、桜花賞、東京3歳優駿牝馬ではそれぞれ3勝という輝かしい成績を残しています。地方競馬通算2500勝という大記録も達成し、2003年には日本プロスポーツ大賞功労賞を受賞しました。

「逃げの森下」という異名を持つように、逃げのレースを得意としていた一方、人気薄の馬を勝利に導く「穴騎手」としての側面も持ち合わせていました。中央競馬への参戦は少なかったものの、第1回ヴィクトリアマイルにマイネサマンサで騎乗した経験もあります。

2012年7月15日には、金沢競馬場所属の山中利夫騎手が引退したことにより、国内最年長騎手となりました。そして、2020年3月4日、川崎競馬第9競走でマイネルミシシッピに騎乗し勝利。64歳10ヶ月での勝利は、地方競馬における騎手の最年長勝利記録を更新する快挙となりました。この記録は、後に的場文男騎手に更新されています。

数々の名馬にも騎乗しました。主な騎乗馬には、エスプリシーズ（川崎記念、報知オールスターカップなど）、カガヤキローマン（東京盃、東京シティ盃など）、ダイアモンドコア（桜花賞、東京3歳優駿牝馬など）、グレイスタイザン（桜花賞、関東オークス、東京3歳優駿牝馬など）、ミネノオウカン（桜花賞）、ユウユウサンボーイ（全日本3歳優駿）、テーケーレディー（東京3歳優駿牝馬）、セリメーヌ（キヨフジ記念）、シヤンタン（キヨフジ記念）など、多くの名馬と共に数々の栄光を掴みました。

2020年3月31日、長きにわたる騎手生活に幕を閉じ、引退後は厩務員として競馬界に貢献しました。しかし、2022年8月31日、厩務員も引退し、競馬界を離れました。

森下博騎手は、類まれな技術と勝負勘、そして長年にわたる経験で、地方競馬の歴史に大きな足跡を残した、真のレジェンドと言えるでしょう。その功績は、多くの競馬ファンに長く記憶されることでしょう。デビューから引退まで、常に競馬界の中心にいた森下博騎手の物語は、後進の騎手たちにとっても大きな刺激と、目標となる存在だったに違いありません。地方競馬ファンだけでなく、多くの競馬関係者から惜しまれつつ、その生涯を閉じた彼の功績は永遠に語り継がれるでしょう。

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