森吉ダム

森吉ダム（もりよしダム）

森吉ダムは、秋田県北秋田市森吉字砂子沢下岱に位置し、米代川水系小又川の上流に建設された重力式コンクリートダムです。秋田県が管理するダムの中では最も古く、その歴史は1952年10月にまで遡ります。当時、秋田県と三菱マテリアル株式会社（当時は太平鉱業株式会社）との共同事業として完成しました。

概要

森吉ダムは、県内でも有数の豪雪地帯に位置しながらも、わずか1年7ヶ月という短い期間で完成したことが特筆されます。ダムの高さは68mで、ダムサイトの上部3m分の工費は秋田県が補助しています。現在、ダムの管理運営は秋田県北秋田地域振興局森吉ダム管理事務所によって行われています。

ダムの高さについては、資料によって記述が異なっています。『秋田県立自然公園 森吉山の自然』や『ぐるっと森吉山』などの文献では68mとされていますが、『角川地名大辞典 5 秋田県』やダムカードでは堤高62mと記載されています。

ダムの名前は、建設当時の町名に由来します。森吉ダムの主な目的は、洪水調節と発電です。発電は当初、三菱金属が尾去沢鉱山の秋田精錬所に自家発電を供給するために行われていました。

老朽化のため、2022年10月には小又川第一発電所と小又川第二発電所が廃止されました。これらの発電所に代わる新たな発電所として、2019年5月から新発電所の建設が始まり、2022年12月中の完成と運転開始を目指しています。

2022年12月12日には、秋田県の「未来に伝えたい秋田のインフラ50選」に森吉ダムが選出されました。

太平湖

森吉ダムによって形成された人造湖である太平湖は、森吉山県立自然公園および国指定鳥獣保護区に指定されており、風光明媚な景観が広がります。遊覧船が運航されており、新緑の季節から紅葉シーズンにかけて、秋田県の名勝天然記念物である小又峡を散策することができます。

太平湖という名称は、太平鉱業の名前に由来しています。民間企業の名がダム湖の名前に採用されるのは珍しい例です。太平湖には小又峡をはじめとする大小13もの沢水が流れ込み、ニジマス、イワナ、コイ、ワカサギなど多様な魚が生息しています。

太平湖グリーンハウスは、太平湖を一望できる場所に位置し、売店や遊覧船の乗船券売り場などがあります。遊覧船「森吉丸」は、6月1日から10月31日までの期間、小又峡の間を周航しています。

湖の底には、かつて砂子沢集落がありました。江戸時代の1803年、菅江真澄がこの集落を訪れ、「秀酒企乃溫濤」に絵図とともに記録を残しています。

参考文献

森吉ダム　ダムカード - ダムの各種データ
『秋田県立自然公園 森吉山の自然』 - 本文 p.154

関連項目

ダム
日本のダム
重力式コンクリートダム - 日本の重力式ダム一覧
水力発電
小又峡

外部リンク

森吉ダム - ダム便覧
水力発電所データベース 小又川第四
秋田県 県が管理しているダム
* 三菱マテリアル 森吉ダム - 小又川系発電所

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