森安多恵子

森安 多恵子

森安 多恵子（もりやす たえこ、1948年5月5日 - 2020年8月2日）は、日本将棋連盟に所属していた元女流棋士です。鹿児島県霧島町（現在の霧島市）出身で、高島一岐代九段に師事しました。女流棋士番号は3番（2011年3月31日までは11番）でした。

人物と棋歴

プロとして活躍した森安女流四段は、タイトル獲得こそ叶いませんでしたが、二度にわたり女流将棋界の最高峰に挑戦しました。プロ入り間もない1976年には第3期女流名人位戦の挑戦者となり、続く1979年には第2期女流王将戦でも挑戦権を獲得しました。しかし、いずれのタイトル戦も、当時の女流棋界を牽引していた蛸島彰子に阻まれ、タイトル獲得には至りませんでした。

特筆すべきは、1976年に女流名人位戦の挑戦者となったことで、女流1級から女流二段へ一気に昇段を果たしたことです。これは「飛び昇段」と呼ばれる制度によるもので、女流棋士としては史上初の事例として記録されています。この出来事は、女流棋士の歴史において彼女の功績を示す重要な一ページとなっています。

現役生活においては、その明るい人柄から「おしゃべりインコ」という愛称で親しまれた一面もありました。また、棋士の桐山清澄九段の結婚の際には、仲人を務めるなど、将棋界での人脈も広く、様々な役割を担っていました。

長年にわたり女流棋士として活動し、2001年には日本将棋連盟から勤続25年の表彰を受けています。

現役引退と晩年

2011年8月31日に、森安女流四段より8歳年長だった関根紀代子女流五段が現役を退いたことにより、森安女流四段が日本将棋連盟に所属する現役女流棋士の中では最年長となりました。その後、2012年1月17日の対局が現役最後の将棋となり、同年3月31日をもってプロとしてのキャリアに幕を下ろしました。引退時の段位は女流三段でしたが、引退女流棋士昇段規定に基づき、翌4月1日付で女流四段に昇段しています。生涯の公式戦通算成績は164勝307敗でした。

森安多恵子氏は、残念ながら2020年8月2日に逝去されました。しかし、その訃報はすぐには公表されず、およそ2年後の2022年7月8日に日本将棋連盟から発表されるまで明らかになりませんでした。

昇段履歴

1976年09月00日 - 女流1級
1976年11月26日 - 女流二段（タイトル挑戦／女流プロ名人位戦）
1989年05月22日 - 女流三段（贈昇段／第11期女流王将戦〈林葉直子女流王将〉就位式）
2012年03月31日 - 現役引退
2012年04月01日 - 女流四段（引退女流棋士昇段規定）

タイトル挑戦

タイトル挑戦：2回（獲得0期）

女流名人：第3期挑戦者（1976年度）
* 女流王将：第2期挑戦者（1979年度、タイトル戦は1980年4月実施）

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