森川鹿次

森川鹿次の生涯

生い立ちと初期の生活

森川鹿次（もりかわ しかじ）は、1904年10月7日に愛媛県川之江町で誕生しました。彼の家系は士族の家でしたが、当時は既に没落していました。幼少期からはメンコに夢中になって過ごしており、その後松山市へ出て、呉服屋で丁稚奉公を始めました。これが彼の人生の始まりでした。

満州での活動

1925年、鹿次は妹の悦子と妹婿の檜垣信太郎と共に、満州の大連に移り住みました。そこで彼はクリーニング屋を装いながら、密かに拳銃を集め、大阪に密輸する計画を進めていました。税関の官吏を買収するなどして、彼は次第にその名を広めました。しかし、1941年、500丁の拳銃が密輸中に発見され、ついには逮捕されて懲役1年の実刑判決を受けました。この事件によって、鹿次は全財産を失い、無一文となります。

戦後の生活と結婚

1945年の終戦後、鹿次は愛媛に引き揚げます。その後、今治市に移り住み、闇物資を大阪に運んで生計を立てるようになりました。この頃、彼は野沢春子という女性と出会い、結婚しました。春子は戦争で夫を亡くし、5人の子供を抱えるシングルマザーでした。共に賭場を開き、家庭を築いていきました。

森川組の結成

1952年、鹿次は家族を守るために森川組を結成しました。その後も賭博や様々な活動を展開する中、彼の娘はヤクザの矢嶋長次と結婚し、二人はともにヤクザ社会で名を馳せる存在になっていきました。矢嶋長次は、その後山口組に参加し、更なる飛躍を遂げました。

抗争と挑戦

1964年、第一回松山抗争が勃発し、鹿次はその渦中に置かれました。彼は混乱に際して指導的な役割を果たし、組織を守るために尽力しました。また、地元の観光協会に資金提供を行い、地域貢献も行っていました。鹿次の家族は、主に賭博を通じて安定した収入を得ていましたが、組間の抗争が続き、血の争いも絶えませんでした。

後継者問題と晩年

1973年、鹿次は森川組の後継者を矢嶋長次か息子である森川隆にするかで悩みましたが、最終的に矢嶋長次を選ぶことに決定しました。この決断は森川組と矢嶋組の合併へと繋がり、鹿次は新たな時代を迎えました。

死去

1981年2月20日、森川鹿次は肺癌により78歳の生涯を閉じました。彼の死は、森川組の歴史における大きな節目であり、彼の存在は今でも多くの人々に語り継がれています。彼の波乱に富んだ人生は、混沌とした時代の中でのヤクザの生き様をしっかりと映し出しているのです。

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参考文献

• - 正延哲士『瀬戸内遊侠伝　博徒・森川鹿次の生涯』洋泉社 2000年
• - 正延哲士、天龍寺弦、木村栄志『実録　残侠博徒ヤクザ伝　森川鹿次』竹書房 2006年
• - 国会会議録・第046回国会　地方行政委員会

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