森正蔵

森正蔵（1900年7月1日 - 1953年1月11日）は、昭和期のジャーナリストであり、毎日新聞社で社会部長、出版局長、取締役、論説委員長などを歴任しました。彼の著作の中でも特に『旋風二十年』は、戦後の社会に大きな影響を与えたベストセラーとして知られています。

滋賀県に生まれた森は、東京外国語学校（現東京外国語大学）でロシア語を学び、1926年に毎日新聞大阪本社に入社。ハルピン、奉天特派員、ソ連特派員としてモスクワに駐在するなど、早くから国際的な視野を持って活動しました。帰国後は大阪本社外信部ロシア課長を務め、当時の新聞界で有数のソ連通として知られる存在となりました。

終戦後、森は東京本社で社会部長や出版局長などの要職を歴任し、1950年には取締役に就任、論説委員長となりました。この時期に発表された『旋風20年』、『転落の歴史』、『風雪の碑』、『戦後風雲録』の4部作は、第二次世界大戦から戦後の混乱期を新聞記者の視点から描いた作品として、大きな反響を呼びました。

特に『旋風20年』は、戦時中に公にされなかった内部情報や裁判資料などの極秘文書を基に書かれており、その内容の信憑性と暴露性から、多くの読者の関心を集めました。1945年11月の初版刊行以来、3年間にわたってベストセラーとなり、上・下巻合わせて70万部から80万部を売り上げました。

森正蔵は、ジャーナリストとしての活動を通じて、時代の変化を鋭く捉え、その真相を伝えようとしました。彼の著作は、昭和史を理解する上で貴重な資料となっており、没後も多くの人々に読み継がれています。1953年1月11日、心臓病のため東京大学病院にて52歳で死去。

多磨霊園にある墓所には、毎日新聞社有志によって建てられた本型の碑があり、代表作である『旋風二十年』、『轉落の歴史』、『燃える氷原』、『風雪の碑』、『戦後風雲録』が刻まれています。この碑は、彼の業績と昭和史における役割を今に伝えています。

著書

最近ソ聨の内外情勢（皐月会 1941年）
旋風二十年 解禁昭和裏面史 上・下卷（鱒書房 1945年）
解禁昭和裏面史　旋風二十年（ちくま学芸文庫 2009年）
風雪の碑 昭和受難者列伝（鱒書房 1946年、新版1971年）
転落の歴史 第二次世界大戦の真相（鱒書房 1948年）
燃える氷原 米ソ冷戦の真相（話社 1948年）
戦後風雲録（鱒書房 1951年）
あるジャーナリストの敗戦日記 1945〜1946（有山輝雄編）ゆまに書房 2005年
私が命を賭けた日米開戦スクープ（後藤基治・栗原広美共著 長田達三監修）毎日ワンズ 2010年
挙国の体当たり　戦時社説150本を書き通した新聞人の独白（毎日ワンズ 2014年)

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