森泉岳土

森泉岳土（もりいずみ たけひと）は、1975年生まれ、東京都出身の漫画家です。彼の作品は、独特な描画技法と、文学作品を漫画化するスタイルが特徴で、多くの読者を魅了しています。また、映画監督・大林宣彦の長女である大林千茱萸と結婚しており、その芸術的な繋がりも注目されています。

経歴

2003年には、第13回東京国際ファンタスティック映画祭のポスターに採用され、その才能が広く認知されるようになりました。2010年には、月刊コミックビーム9月号に掲載された「森のマリー」で漫画家デビューを果たし、その後も精力的に作品を発表しています。

森泉岳土の描画技法は非常に独特で、まず紙に水で描線を描き、そこに墨を落とし、細かい部分は爪楊枝や割りばしを使って墨を伸ばすというものです。この技法により、独特の質感と深みのある絵が生まれています。デビュー前には、漫画家のいしかわじゅんから「目鼻口は描かないと」とアドバイスを受けるまで、シルエットのみで絵を構成していたというエピソードも残っています。

作品リスト

森泉岳土は、数多くの作品を発表しており、その中には文学作品を漫画化したものも多く含まれています。以下に主な作品リストを掲載します（括弧内は発売年月日）。

『夜のほどろ』（2011/7/29）天然文庫
『祈りと署名』 (2013/11/25) エンターブレイン ビームコミックス
『夜よる傍に』 (2014/6/25) KADOKAWA/エンターブレイン ビームコミックス
『耳は忘れない』 (2014/7/25) KADOKAWA/エンターブレイン ビームコミックス
『カフカの「城」他三篇』 (2015/3/26) 河出書房新社
『ハルはめぐりて』（2016/4/25）KADOKAWA ビームコミックス
『うと そうそう』 (2016/12/15) 光文社
『報いは報い、罰は罰』上巻 （2017/10/12）KADOKAWA ビームコミックス
『報いは報い、罰は罰』下巻 (2017/10/12) KADOKAWA ビームコミックス
『セリー』（2018/9/12） KADOKAWA ビームコミックス
『村上春樹の「螢」・オーウェルの「一九八四年」』（2019/12/24）河出書房新社
『爪のようなもの・最後のフェリー その他の短篇』(2020/7/30) 小学館
『アスリープ』（ 2021/7/13） 青土社
『フロイトの燃える少年の夢』(2022/10/22) 河出書房新社
『仄世界』 (2022/12/23) 青土社

これらの作品は、彼の独特な描画スタイルと文学的な解釈が組み合わさり、読者に深い感動を与えています。特に、カフカや村上春樹といった文学作品の漫画化は、原作の魅力を新たな形で引き出すことに成功しています。

装画

森泉岳土は、漫画作品だけでなく、数々の書籍の装画も手掛けています。その才能は多岐にわたり、装画においても独特のセンスを発揮しています。

柴崎友香『寝ても覚めても』（河出書房新社）※マンガも
斉藤洋『アリスのうさぎ』（偕成社）※挿絵も
芳川泰久『坊ちゃんのそれから』（河出書房新社）
芳川泰久『吾輩のそれから』（河出書房新社）
芳川泰久『先生の夢十夜』（河出書房新社）
佐野亨編『心が疲れたときに観る映画 『気分』に寄り添う映画ガイド』（立東舎）
斉藤洋『シンデレラのねずみ』（偕成社）※挿絵も
斉藤洋『グレーテルの白い小鳥』（偕成社）※挿絵も
井上荒野『よその島』（中央公論新社）
大林宣彦『シネマの玉手箱』刊行（ユニコ舎）
乃南アサ『チーム・オベリベリ』（講談社）
笹公人『念力レストラン』(春陽堂書店）
小沼純一『しっぽがない』（青土社）※挿絵も
大林宣彦『A MOVIE 大林宣彦、全自作を語る』（立東舎）
新井素子・冲方丁・小川哲ほか『世界SF作家会議』（早川書房）※挿絵・マンガも
『とりあえず日本語能力試験対策N1 文字・語彙／文字・語彙／文法』（ココ出版）

これらの装画からも、彼の幅広い表現力と芸術性の高さが伺えます。

森泉岳土は、漫画家としての活動に加え、装画や挿絵など、多様な分野で才能を発揮しています。彼の作品は、独特の画風と深いテーマ性が魅力で、多くのファンを魅了し続けています。

外部リンク

森泉岳土 (@moriizumii) - X（旧Twitter）

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