森田慶一

森田 慶一（もりた けいいち）の人物像と業績

森田慶一（1895年4月18日 - 1983年2月13日）は、三重県出身の著名な日本の建築家であり、建築研究者です。彼は京都大学名誉[[教授]]としての長い経歴を持つ一方、東海大学教授としても教育に携わり、多くの建築家を育てました。森田は、過去の様式からの分離を謳った分離派建築会に参加し、独自の設計活動を展開しました。その後、西洋建築の歴史を徹底的に研究し、ギリシアやローマの古典建築に強い関心を持つようになります。特に、古典精神の探求に重きを置き、建築論の研究にも力を注ぎました。

学歴と経歴

森田は、県立三重第一中学校から旧制第三高等学校を経て、1920年に東京帝国大学工学部建築学科を卒業しました。その後、警視庁技師としてキャリアをスタートさせましたが、武田五一の招きで京都帝国大学に助[[教授]]として赴任します。1934年には「ヰトルーニウスの建築論的研究」により工学博士号を取得し、同年から1936年にかけては、古典建築を学ぶためフランスとギリシアに留学。また、1936年には京都帝国大学の教授として迎えられました。

1958年に京都大学を退官した後も、建築分野での寄与は続き、例えば1950年から1957年まで京都府建築審査会の委員を務め、さらに奈良県建築審査会の委員も務めました。その後、1963年から1979年には東海大学教授として教育に力を注ぎました。彼の業績は、1974年に授与された日本建築学会大賞に顕著に表れています。

教育と著作活動

森田は、分離派建築の活動をしながら、自らの建築思想を広めるために多くの著作を発表しました。『建築論』や『西洋建築史概説』など、彼の著作は彼の思索を反映したもので、特に『ウィトル-ウィウス建築書』の翻訳は、日本における建築史研究において重要な業績とされます。彼の後期の著作『建築論』は、京大で行った建築概論の講義を発展させたものであり、古典建築とロマン的本性を深く探求しています。

彼の建築理念は、古典的要素とロマン的要素を統合的に把握しようとするもので、古典性は単なるクラシシズムにとどまらず、オーギュスト・ペレの作品に見られる洗練された要素とも強く結びついていました。特に、ペレの建築理念に対する理解を示し、「建物の骨格に空間の歌をうたわせることが根本である」と表現している点が印象的です。

作品と影響

森田の代表的な作品には、1924年に設計した京都帝国大学楽友会館や、京都大学基礎物理学研究所湯川記念館（1952年）など、多くの建物があります。これらは戦後の日本における建築の発展に大きく寄与しました。また、京都国立博物館新陳列館（1965年）は彼の戦後の作品の一つですが、現存していません。彼の作品は、実用性と美の調和を追求したもので、後の建築家に引き継がれる重要な要素を含んでいます。

個人的な側面

晩年、森田は入院後に受洗し、キリスト教の文化にも関心を示しました。彼は自ら「マルコ」というクリスチャン・ネームを希望したことから、その信仰心や文化への興味も伺えます。森田慶一は、建築の理論を確立し、日本における現代建築の道を切り開いた重要な人物であり、その影響は今日の建築専門家にも及んでいます。

もう一度検索