森田眞円

森田 眞円（もりた しんねん）

1954年に奈良県に生まれた森田眞円氏は、浄土真宗の僧侶であり、仏教学者として知られています。学術的な探求と実践的な布教伝道を両立させ、教育者としても宗派の要職者としても、多方面で活躍しています。

学びの道

森田氏は、仏教、特に浄土真宗の教えを探求するため、龍谷大学の大学院に進み、博士課程の真宗学専攻を修了しました。また、本願寺派の僧侶にとって重要な研鑽の場である宗学院でも学びを深め、卒業しています。これらの学歴は、その後の仏教学者および宗派人としての活動の礎となりました。

多彩なキャリア

大学院修了後、森田氏は教育者としての道を歩み始めました。龍谷大学や中央仏教学院で講師を務め、若い世代への指導にあたります。特に注目される経歴の一つは、京都女子大学文学部英文学科の教授を務めたことです。専門外である英文学の学科においても教鞭を執ったことは、氏の教育に対する柔軟な姿勢や、仏教思想を広く伝えるための試みを示すものと言えるでしょう。その後、再び専門である仏教学、真宗学の分野に戻り、京都女子大学の教授、そして龍谷大学実践真宗学研究科の教授として、後進の育成に力を注いでいます。

教育活動と並行して、森田氏は浄土真宗本願寺派の組織内でも重要な役割を果たしてきました。本願寺教学伝道研究所の所長として、宗派の教学研究および伝道方法の研究・推進を主導しました。また、本願寺派の教学の権威である「勧学」にも任命されており、宗派教学の護持と発展に貢献しています。さらに、郷里である奈良県葛城市にある教善寺の住職として、地域に根差した寺院活動を行い、門徒への教えの伝達と実践にも努めています。

著作活動

森田氏は、自身の研究成果や長年の経験に基づく教えを、数多くの著作を通じて世に問うています。その著書は、学術的なものから、一般の読者にも分かりやすく真宗の教えを説く入門書まで、多岐にわたります。代表的な単著としては、『ひらがな真宗』(2000年)、『ひらがな正信偈』(2003年)、『観念法門窺義』(2005年)、『笑う門には念仏あり』(2007年)、『はじめての親鸞さま』(2012年)などがあります。特に「ひらがな」シリーズは、専門用語を避け、平易な言葉で真宗の要を伝える試みとして、多くの読者に親しまれています。『観念法門窺義』のような研究書も手掛けており、学術的な深度も兼ね備えています。

また、複数の研究者や僧侶との共著も多く発表しています。『秋いろの空に』(2000年、蔵田了然、冨井都美子共著)、『やさしく語る親鸞聖人伝』(2011年、瓜生津隆真ほか複数名と共著)、『浄土真宗はじめの一歩 入門書』(2012年、釈徹宗共著)などがあり、共同でテーマを探求したり、入門者向けの分かりやすい解説を提供したりしています。

研究論文

学術論文については、科学技術振興機構が提供する論文情報ナビゲータCiniiなどでその業績を確認することができます。これらの論文は、氏が仏教学者としてどのようなテーマに関心を持ち、どのような研究を行っているかを知る上で重要な資料となります。

まとめ

森田眞円氏は、奈良に生まれ、龍谷大学で真宗学を深く修めた後、教育者、研究者、宗派の要職者、そして寺院の住職という様々な立場で、浄土真宗の教学研究と布教伝道に生涯を捧げています。難解と思われがちな仏教の教えを分かりやすく説く著作活動や、大学・宗学院での教育を通じて、真宗の智慧を現代社会に伝えようと尽力しています。その活動は、学術研究の発展と、門徒はじめ多くの人々への教えの普及に、大きく貢献していると言えるでしょう。

もう一度検索