森茂喜

森茂喜の足跡

森 茂喜（もり しげき、1910年3月27日 - 1989年11月19日）は、日本の政治家であり元軍人であった。彼は石川県能美郡根上村出身で、父は元根上村長の森喜平、そして長男には第85・86代内閣総理大臣の森喜朗がいる。茂喜の生涯は日本の激動の時代と密接に関連しており、その活動は多岐にわたった。

幼少期からの経歴

茂喜は旧制小松中学を経て、早稲田大学専門部法律科で学んだ。在学時代にはラグビー部での活躍が目立ち、卒業後は京都市役所での勤務を経て、石川県庁に転職する。

軍人としての経験

日中戦争の勃発に伴い、茂喜は陸軍に召集され、特別志願の将校として従軍した。彼は少尉として、上海上陸や南京攻略戦、徐州作戦、武漢作戦など初期の激戦を経験し、これらの経験は後の彼の人間形成に大いに寄与した。彼が満州での駐留中に部下の丁来赫と交流を持ち、戦後も親交を深めたことは特筆に値する。

戦後の政治家としての活動

戦後、1947年に根上町議会議員選挙に出馬し、初当選を果たす。1953年には無投票で根上町長に就任し、以後1985年までの間、9期連続で町長職を担った。町民からの圧倒的な支持を受けた彼は「おぶつけ町長」と呼ばれ、座右の銘に「滅私奉公」を掲げて町民との対話を重視した。

産業振興と地域開発

森の町長としての最大の業績の一つは、地域の産業誘致に力を入れたことだ。彼は誘致条例を設け、1959年に最初の工場を根上町に誘致。その後も順調に企業を誘致し、1975年には県内町村で工業製品出荷額が第1位となる成果を得た。高速道路の必要性も主張し、それに伴う北陸自動車道の建設にも尽力した。

国際交流活動

茂喜は日ソ交流にも深く関与し、1950年代からソ連との民間交流を促進した。中学生の相互訪問を実施し、喜朗が述懐するように、初めて日本の旗を見る子供たちの感動は深い意味を持っていた。根上町とシェレホフ市の姉妹都市提携や金沢市とイルクーツク市との提携も彼の功績に起因する。

自衛隊と地域への影響

彼はまた、自衛隊の小松基地受け入れに対しても積極的であった。基地周辺整備に伴う様々な地域振興策が進められ、そのおかげで保育園や道路などの公共施設の整備が実現した。茂喜は基地が地域に与える恩恵を訴え続け、時には反対派の議員さえもその意義を認める場面もあったという。

最後の歳月

1989年4月には体調不良を理由に町長を辞任し、退職金を全額町に寄付するなどの行動が話題となる。辞任後は名誉町民として特別な存在となり、同年11月に肺炎のため79歳で死去。

彼の墓はシェレホフ市にあり、彼の遺骨の一部もそこに納められた。森茂喜の生涯は、地方政治の中での業績や国際交流、地域振興への情熱が結実したものであり、今もなお地域の発展に寄与し続けている。

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