武漢作戦

武漢作戦の概要

武漢作戦（ぶかんさくせん）は日中戦争中に行われた重要な戦闘であり、武漢三鎮攻略戦、あるいは武漢攻略戦と呼ばれることもあります。また、中国側では武漢会戦や武漢保衛戦と称されています。この戦いは日本と中国の双方にとっての歴史的な節目とも言えるものです。

背景

日中戦争は1937年に勃発し、その後の戦局は膠着状態が続いていました。大本営は当初、中国軍に対する攻勢を控える方針を取っていましたが、徐州会戦の後、敗れた蔣介石は漢口に政府を移し、全面的な抵抗を続けることを決意しました。そのため、日本側は戦略を大きく転換し、武漢三鎮および広東の攻略を目指すことになります。

作戦の目標は漢口の占領であり、同時に蔣介石を窮地に追い込むことで総力戦における優位を確立し、戦局を有利に進めることでした。当時、日本は30万人以上の兵力を動員し、1938年5月5日に施行された国家総動員法の下で大規模な軍事行動が準備されました。この作戦拡大により、日本軍は天然の要害となっていた重慶を攻略できないことを認識し、泥沼の戦争に巻き込まれていくことになります。

経過

1938年6月18日、大本営は武漢作戦への準備命令を出しました。7月4日には第11軍の戦闘序列が発表され、8月22日には武漢三鎮の占領が明言されました。

この作戦は、主に新たに編成された第11軍と北支那方面軍から転用された第2軍の協力によって進められました。第11軍は揚子江を遡り、武漢を目指しました。一方、第2軍は北方から進軍し、大別山系を越えて武漢へ接近しました。

しかし、進行の際には実際に数々の困難が待ち受けていました。第2軍は黄河の堤防が決壊して流域への進軍が難航し、大別山系を越えるという苦しい選択をせざるをえませんでした。さらに、第13師団や第16師団は中国軍の強力な陣地に阻まれ、進軍は難航しました。

その間、揚子江沿岸を進む第11軍は、各地で中国軍の反撃を受けましたが、徐々に前進を続けました。9月下旬には、田家鎮と馬頭鎮という重要拠点が陥落し、10月17日には蔣介石が漢口から撤退しました。その後、10月25日には中国軍が市内から姿を消し、日本軍は10月26日に漢口を占領しました。

その時、漢口市内では火災が発生し、撤退した中国軍による放火が疑われました。主力を失った中国軍は、完全な殲滅には至りませんでした。また、武漢三鎮の占領が戦争解決への道筋になるという期待は、蔣介石が重慶に政府を移動させたことで消え去ってしまいました。

参加兵力

武漢作戦には多くの兵力が動員されました。

日本軍

• - 中支那派遣軍 司令官：畑俊六大将
• - 第11軍 司令官：岡村寧次中将
• - 第6師団 師団長：稲葉四郎中将
• - 第9師団 師団長：吉住良輔中将
• - 第27師団 師団長：本間雅晴中将
• - 他、複数の師団が参加しました。

中国軍

• - 武漢行営 主任：蔣介石軍事委員長
• - 武漢衛戍総司令：羅卓英上将
• - 第9戦区 司令長官：陳誠上将
• - その他、多数の集団軍および兵団が参加しました。

結論

武漢作戦は日中戦争における重要な攻防の一つでしたが、戦局の流れを大きく変えるものとはなりませんでした。日本側は大規模な兵力を投入したにもかかわらず、戦争は長期化し、両国の国民に計り知れない影響を及ぼす結果となりました。

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