森陣屋

森陣屋（もりじんや）

森陣屋は、大分県玖珠郡玖珠町に位置し、豊後森藩の藩庁が置かれていた歴史的な陣屋です。通称、久留島陣屋とも呼ばれています。歴史的には、慶長6年（1601年）に来島長親がこの地に豊後森藩を設立し、その拠点として陣屋が築かれました。来島氏は格式により城を持つことができなかったため、既存の角牟礼城を廃棄し、新たに角埋山の山麓に陣屋を設けたのです。

陣屋の敷地内には、来島氏の祖先が祀る大山祇神社の神を勧請して造られた三島神社（現在の末廣神社）が存在しました。天保8年（1837年）には、当時の第8代藩主・久留島通嘉がこの神社の改築を契機に、石垣や茶屋「栖鳳楼」を増築し、さらに藩主の御殿庭園や栖鳳楼庭園、清水御門庭園を整備し、まるで城のような姿にも近づけました。

その後、明治時代に突入し、廃藩置県が行われると森藩は森県に改名され、森陣屋は県庁として利用されました。しかし、間もなくして森県は大分県に合併されたため、森陣屋はその役目を終えました。昭和初期まで陣屋の建物は役所として利用されていましたが、その後の時代の流れで一部を除き撤去されました。現在、森陣屋の跡地は三島公園として整備され、栖鳳楼やその庭園も保存されています。栖鳳楼は、大分県の指定有形文化財に、また庭園は「旧久留島氏庭園」として国の名勝に指定されているのです。

栖鳳楼について

栖鳳楼は、伝統的な楼閣スタイルの茶屋であり、その名前は真言宗の僧侶である不退堂に由来すると言われています。この茶屋は「紅葉の御茶屋」としても知られ、8代藩主通嘉が三島神社の修築の際、陣屋のシンボルとして天守に見立てて建設したとされています。栖鳳楼は2階建てで、初重部分は瓦葺き、2重目は杉皮で屋根が覆われており、現在の2重目は銅板葺きに改修されています。真っ赤な漆喰塗りの真壁造り特徴が目を引き、最上階には雨戸付き内縁高欄の望楼があります。建物は石垣に隣接しており、1階と神社の石垣との間に玄関が設けられています。

近代に入ると簡易な補修が行われ、老朽化も進んでいましたが、2000年から3年間にわたって元の姿に修復されました。ただし、栖鳳楼の一般公開は現在行われていないため、その全貌を目にする機会は限られています。

森陣屋の歴史や文化的価値は地域の重要な遺産として今でも多くの人々に愛されています。陣屋の跡地は観光地としても利用され、多くの人々が訪れる場所となっています。歴史的意義や文化財に触れることができる貴重な場所として、大分の歴史を語る重要な存在です。

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