森藩

森藩の歴史と文化

森藩（もりはん）は、江戸時代に豊後国の一部である日田郡、玖珠郡、速見郡を領有した藩である。藩庁は現在の大分県玖珠郡玖珠町に位置する森陣屋であった。森藩は、豊後地方の発展に寄与し、特に明礬製造において重要な役割を果たした。

初期の歴史

森藩の創設者は、来島水軍の後裔である来島長親（後の康親）である。彼は伊予国来島（現在の愛媛県今治市）において1万4千石を領有していたが、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは西軍に加担した。彼の妻の伯父である福島正則の仲介により、本多正信を介して家名が存続することが認められた。翌年、長親は豊後森に戻り、再び同じ石高で藩を立てた。

藩主は初代から続々と代を重ね、特に2代の通春は名字を来島から久留島に改称した。3代の通清は、寛文3年（1663年）に参勤交代の帰路、暴風雨により周防国で惨事に遭遇し、藩主の弟をはじめ多くの家臣が命を落とす事故があった。この出来事を経て、藩内の管理体制に改正が加えられることとなった。

明礬の産業と発展

寛文4年（1664年）には、渡辺五郎右衛門が速見郡鶴見村の照湯において、湯の花からの明礬（ミョウバン）製造に成功した。この事業はのちに脇屋儀助によって本格化され、特に享保10年（1725年）には全国的に20%以上の生産量を誇るまでに成長し、藩の重要な主要財源となった。明礬はその後、2006年に国の重要無形民俗文化財に指定されるに至り、この伝統は現代に引き継がれている。

幕末と明治の動乱

幕末には、藩論が勤王倒幕に統一されていく中、藩は日田の西国筋郡代代官所警備を担うことになった。明治4年（1871年）には廃[[藩置県]]が実施され、森県を経て大分県に編入された。その後、明治2年には久留島家が華族に列し、1884年には子爵の称号を受けることとなった。

久留島家の末裔には、著名な童話作家の久留島武彦がいる。彼の業績を称え、玖珠町では1950年から「日本童話祭」が開催されており、地域の文化振興にも寄与している。

現存する文化財

森藩の歴史を伝えるものとして、8代藩主通嘉によって建設された2層の茶室「栖鳳楼」が県指定の有形文化財として今に残っている。この茶室は老朽化が進み、2003年から2005年にかけて保存修理が行われた。藩の歴史や文化を肌で感じることができる貴重な場所であり、地域の人々に愛され続けている。

森藩はその独自の文化と歴史により、今も多くの人々に親しまれている。

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