森麗勇樹

森麗勇樹：大相撲史に残る「負けん気」と人気力士の軌跡

森麗勇樹（もりうらら ゆうき）は、1987年6月16日生まれ、千葉県千葉市若葉区出身の大相撲力士である。最高位は西序二段56枚目（2013年3月場所）。大嶽部屋所属（入門時は大鵬部屋）。本名は森川勇樹。身長167.5cm、体重132.5kg。

38場所連続負け越しからの奇跡

森麗勇樹の相撲人生は、記録ずくめだ。新序出世から実に38場所連続負け越しという、昭和以降ワースト記録を打ち立てた。その途方もない連敗は、地方競馬の競走馬・ハルウララを彷彿とさせ、四股名に「森麗」が付けられたのはそのためだ。

小学校から相撲を始め、中学3年生の2002年夏に大鵬部屋で体験入門。その居心地の良さに惹かれ、予定の1週間から3週間に延長するほど相撲にのめり込んでいた。2003年5月、本名で初土俵を踏むと、それから連敗の日々が続く。勝つことさえ難しい日々の中、経験を積むごとに少しずつ白星は増えたものの、勝ち越すまでには至らなかった。

2007年5月場所、前場所負け越しからの序二段昇進。新序出世から24場所連続負け越しという記録は、当時のワースト記録を更新する結果となった。師匠である12代二子山（当時、現17代大嶽）からは何度も引退を勧められたという。しかし森麗は「やめたくない」と涙ながらに訴え続けた。師匠の16代大嶽もまた、彼の才能を見抜き、引退後も責任を持つと再三続投を後押しした。

37場所連続負け越しとなった2009年7月場所。デイリースポーツの一面を飾り、様々な改名案が報道された。そして、連敗を更新したまま迎えた2009年11月場所を前に、ついに「森麗」への改名を決意。師匠と相談の上、ハルウララをアレンジした四股名となった。序ノ口力士としては異例となる記者会見が開かれ、約20人の報道陣が集まった。

改名と奇跡の勝ち越し

改名後、迎えた11月場所。7番相撲で勝利し、初勝ち越し。念願の勝ち越しを掴んだものの、翌年1月場所では7戦全敗で序ノ口に逆戻り。その後も勝ち越しには至らなかったが、地道な努力を続け、2011年1月場所では1番相撲から4連勝。2度目の勝ち越し、そして序二段での勝ち越しも果たした。

2014年1月場所は右膝の負傷で初日から休場。全休すれば番付外に転落するため、7番相撲（竜電戦）のみ出場した。その後も、四股名の変更を経て、現在に至るまで相撲道を歩み続ける。2024年3月場所終了時点では序ノ口9回、序二段2回の計11回の勝ち越しを記録している。

「史上最弱力士」と呼ばれた男の人となり

師匠である12代二子山は、森麗を「内気な性格で自己表現が苦手な子」と評する。しかし相撲への情熱は並々ならぬものがあった。新弟子時代は、四股やまた割りだけでなく、茶碗洗い一つまともにできなかったという。報道では「史上最弱力士」と断言されることもあったが、その真摯な姿勢と努力は周囲を動かした。

大鵬部屋最後の入門者であり、大鵬の死去後初めて土俵に上がった2013年1月場所では、同部屋の2力士が黒星を喫する中、森麗だけが白星を挙げたことは大きな話題となった。この場所は4勝3敗と5度目の勝ち越しを記録している。

大砂嵐の付き人を務めた時期もある。大砂嵐の携帯電話を水没させてしまったエピソードや、王鵬と稽古場で相撲を取って負けたエピソードなど、数々の逸話は森麗の人間味あふれる魅力を示している。大鵬部屋、そして大鵬の最後の弟子として、相撲界に足跡を残し続けている。

通算成績と改名歴

2024年9月場所終了時点での通算成績は275勝596敗13休（127場所）。

改名歴

森川 勇樹（もりかわ ゆうき）：2003年5月場所 - 2007年1月場所・2008年1月場所 - 2009年9月場所
森川 勇輝（もりかわ ゆうき）：2007年3月場所 - 2007年11月場所
森麗 勇気（もりうらら ゆうき）：2009年11月場所 - 2017年1月場所
勇竜 麗（いさみりゅう れい）：2017年3月場所 - 2017年5月場所
* 森麗 勇樹（もりうらら ゆうき）：2017年7月場所 -

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