棲雲寺

栖雲寺（せいうんじ）

栖雲寺は、山梨県甲州市大和町木賊にある臨済宗建長寺派の寺院で、天目山を山号とし、本尊には釈迦如来が祀られています。この寺院は1348年に創建され、当初は護国禅寺と呼ばれていました。栖雲寺には美しい庭園があり、県の指定名勝にも選ばれています。

概要

栖雲寺は天目山の標高約1,050mに位置し、日川渓谷の上流部分にあります。周囲には自然豊かな環境が広がり、この地の美しさを一層際立たせています。日川渓谷の下流には、曹洞宗の天童山景徳院が存在します。

開基は業海本浄（ごうかいほんじょう）であり、彼は1348年にこの場所を訪れ、20年以上にわたる修行の後、ここに護国禅寺を創建しました。業海は、元に渡り、天目山で普応国師中峰明本から教えを受けた後、日本に戻り、修行の場として木賊山を選びました。この地が修行に適していると実感し、多くの徒弟とともに仏教の教えを広めていきました。

業海はその晩年、ほかの禅僧とは異なり、地元住民との交流を避け、隠れた生活を送っていました。彼の死後も、武田氏の庇護により寺は栄え、「東天目」と称されるようになりました。これは業海と共に元に渡った遠謾祖雄が開いた高源寺と対をなす名称です。

歴史と沿革

栖雲寺は、創設以来数世代に渡り多くの歴史的出来事を見守ってきました。特に1416年には甲斐守護の武田信満がこの地で自害し、その遺体が栖雲寺に葬られたとされています。信満の墓や、彼とともに自害した家臣の五輪塔が寺内に存在します。また、戦国時代において、織田家が台頭する中でも栖雲寺は影響力を失うことなく、徳川家康から寺領保障を受けるに至りました。

1621年には、家康の孫である徳川家光からも寺領の保障がなされ、栖雲寺の重要性が再認識されました。寺はなぜか歴史的な激動に見舞われつつも、現代までその伝統を保っています。

文化財と庭園

この寺は、数多くの文化財を有しています。重要文化財に指定されている木造普応国師坐像や、業海本浄和尚坐像、木造釈迦如来坐像など、多くの貴重な仏像が存在します。また、県指定の有形文化財には、業海が師事した普応国師に関するものや、寺院の成立に関わる資料が含まれています。特に木造釈迦如来坐像は、その存在感と技巧が高く評価されています。

さらに、栖雲寺の庭園は、急斜面に築かれ、多様な岩石が配置された独特のものです。この庭は業海の作庭と伝えられており、座禅修行の場としての側面を持つ神聖な場所です。庭に刻まれた「霊石泉」の文字は、この場所の神秘性を物語っています。

アクセスと訪問

栖雲寺への訪問は、JR中央線の甲斐大和駅からバス移動が便利で、また、周辺の自然環境も目を楽しませてくれます。シーズンごとに宝物風入れ展が開かれ、通常は見ることのできない貴重な資産を間近で鑑賞できる機会も提供されます。

栖雲寺は、歴史と自然、芸術が融合した美しい場所。地域の人々や仏教徒にとって特別な意味を持ち続けています。

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