植木義晴

植木義晴：日本航空を率いた「情の植木」

植木義晴（うえき よしはる）は、1952年9月16日生まれの実業家であり、操縦士です。かつては俳優としても活動し、後に日本航空（JAL）の会長を務めました。

生い立ちと俳優時代

京都府出身。父は昭和期の剣戟映画で一世を風靡した大スター、片岡千恵蔵です。千恵蔵が49歳の時に授かった5人兄弟の四男として生まれました。兄に植木基晴、姉に女優の植木千恵がいます。

幼少期には子役として映画に出演。『黒田騒動』(1956)や『赤穂浪士 天の巻 地の巻』(1956)、『大菩薩峠 第二部』(1958)などの作品に出演しましたが、演技中にうまく泣けなかった際、父である千恵蔵に叱咤激励（頬を叩かれた）されたことをきっかけに、俳優業を辞めることとなりました。

パイロットへの道

京都教育大学附属高等学校を卒業後、慶應義塾大学法学部へ進学しますが、1年で中退し航空大学校へ入学。1975年に航空大学校を卒業後、日本航空に入社し、操縦士としてのキャリアをスタートさせました。1994年にはDC-10の機長に昇格し、その後17年間、機長として乗務しました。

2008年6月には、ジェイエアの代表取締役副社長に就任（JALからの出向）。JALの執行役員に就任するまでは、ボンバルディア CRJ200の機長も務めました。

日本航空社長として

2010年、日本航空が経営破綻。稲盛和夫会長の下、植木氏は執行役員運航本部長に就任し、JALの再建に尽力します。2012年2月15日には、臨時株主総会で取締役に選任され、その後の取締役会で代表取締役社長に就任しました。「情の植木」と呼ばれ、誰からも好かれる親分肌の人柄が、その手腕を高く評価され、社長就任へと繋がりました。

2018年1月24日、同年4月1日付で代表取締役社長執行役員から代表取締役会長へ異動する人事が発表されました。社長の座は、常務執行役員整備本部長兼JALエンジニアリング代表取締役社長の赤坂祐二氏に引き継がれました。同年6月には、フランス政府からレジオンドヌール勲章シュヴァリエを授与されています。

2020年4月1日、代表権のない取締役会長となり、一線を退きました。

人物像

植木氏は、日本航空初の「機長出身の社長」です。パイロット出身の航空会社社長としては、スカイマークの西久保愼一氏の例がありますが、「定期便の機長出身」という点では、国内大手航空会社では初のケースとなります（日本トランスオーシャン航空の社長を務めた巌祥夫氏も定期便機長出身です）。

エアバスA350 XWBの導入においては、元機長としての知識と経験を活かし、主導的な役割を果たしました。

テレビ出演

* 日経スペシャル カンブリア宮殿 日本航空は再び大空を舞うか？！（2012年6月28日、テレビ東京）

植木義晴氏は、俳優からパイロットへ、そして日本航空の社長へと異例のキャリアを歩み、そのリーダーシップでJALの再建に大きく貢献した人物として、記憶されることでしょう。

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