検視官

検視官について

検視官とは、主に変死やその疑いのある体の検視を行う職業を指します。これらの業務は法的に確立されており、国によって役割や任務が異なります。日本では刑事訴訟法に基づき、検視の業務は検察官が担うことが定められていますが、実際には多くの場合、警察官がその業務に従事しています。

日本における検視官の役割

日本の刑事訴訟法229条によれば、検察官が変死者の検視を行うべきとされています。しかし、同法第2項により、司法警察員や検察事務官にその業務を代行させることができます。このため、多くの場合、警察官が実際に現場に赴いて検視を行っています。日本では「検視」や「検死」という用語が用いられますが、これはかつて「検屍」と呼ばれていたものの、当用漢字の制約により表記が変更された経緯があります。

実際の検視を行う警察官は「検視官」とか「刑事調査官」と呼ばれますが、これはあくまで職務に基づく呼称であり、公的な資格制度が存在するわけではありません。通常は、所轄警察署の刑事課に属する司法警察員が検視の業務を完了させますが、特に慎重な判断が必要な事件に関しては、検視官の出動が求められることがあります。検視官が現場に赴くかどうかにかかわらず、その検視結果は全て検視官に報告されることになります。

検視官の資格

日本における検視官は、警視庁や道府県警察本部の刑事部に所属しています。警察大学校で法医学を修了した者が、上級階級の警察官として指名されることが多いです。これにより、専門的な知識と経験を持った人材が検視の業務を担います。

米国の検視官

米国でも「Coroner」という言葉が使われ、これを「検死官」と訳すことがあります。役割は州により異なりますが、基本的には不慮の死に関する調査を行う専門職です。検視官は選挙で選ばれることが多い他、医学的な背景を持つ人物が任命されることもあります。検視官の深い専門知識が、不明な死因を解明する上で重要な役割を果たします。

英国における検視官

イングランドとウェールズでは、検視官は地方自治体によって任命され、報酬が支払われる司法官吏としての地位を持っています。彼らは、死因を特定するために現場に立ち会い、必要に応じて法医の助けを借りることがあります。検視官の業務には、司法解剖や監察医との連携も含まれ、司法制度における重要な一環を成しています。

関連項目

検視官に関連する業務には、監察医や警察医、司法解剖、さらには検屍法廷と呼ばれる法的手続きが含まれます。また、過去の著名な検視官として芹沢常行の名が挙げられます。

検視官は現代の法医学に欠かせない存在であり、変死や不明死因事件における解明のプロセスで不可欠な役割を果たしています。

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