椿峠 (山口県)

椿峠（つばきだお / つばきとうげ）

椿峠は、山口県周南市と防府市の市境に位置し、国道2号線が通過する標高108メートルの峠です。その歴史は古く、古代から交通の要衝として重要な役割を果たしてきました。

歴史

椿峠の歴史は、7世紀後半から8世紀前半にかけて整備された官道、山陽道にまで遡ります。この山陽道は、当時すでに椿峠を経由しており、交通の要所であったことがうかがえます。中世・近世においても、山陽道（西国街道）は椿峠を通るルートとして利用され続けました。峠には、かつての都濃郡（現在の周南市）と佐波郡（現在の防府市）の境界を示す郡境碑が設置されており、歴史的な名残を今に伝えています。1960年2月には、現在の国道2号が開通し、交通網の重要な一部を担っています。

現状と課題

椿峠付近の国道2号は、交通量が非常に多いにもかかわらず、片側1車線（登坂車線はあり）で歩道が整備されていません。そのため、急な坂道が続く区間では交通事故が多発しており、安全性の確保が課題となっています。特に、周南市側の登り口に位置する戸田交差点（山口県道27号山口徳山線との交点、通称「湯野入口交差点」）では、時間帯に関わらず頻繁に渋滞が発生し、交通のボトルネックとなっています。これらの問題を解消するため、道路拡幅事業が進められています。

道路拡幅事業

2003年度以降、国土交通省中国地方整備局は、山陽自動車道徳山西IC以東の4車線化が完了した区間から延伸する形で、椿峠の拡幅事業に着手しました。まず、周南市側の拡幅事業（戸田拡幅）が優先的に進められ、2011年9月29日に一部区間が開通、2013年5月20日には全線の拡幅が完了しました。これにより、周南市側の交通状況は大幅に改善されました。一方、防府市側の拡幅事業（富海拡幅）は、2011年に事業化され、2014年に着工しました。この区間の完了は2025年度を予定されており、完成すれば峠全体の交通状況がより円滑になることが期待されています。

今後の展望

椿峠の拡幅事業が完了することで、交通安全性の向上と渋滞の緩和が期待されます。地域住民の生活の質の向上はもちろんのこと、物流の効率化にも貢献すると考えられています。長年の課題であった交通問題の解決に向けて、着実に事業が進捗している状況です。

関連項目

日本の峠一覧

外部リンク

戸田拡幅（国土交通省山口河川国道事務所）
一般国道２号　戸田拡幅の整備効果について
富海拡幅（国土交通省山口河川国道事務所）

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