楊主明雲母

楊主明雲母：新たな雲母の発見

楊主明[雲母]は、2011年に中国内モンゴル自治区のバヤンオボ鉱山で発見された、比較的新しい種類の雲母です。その化学組成式はKMg₂.₅Si₄O₁₀F₂と表され、単斜晶系に属します。通常の雲母とは異なる特異な構造を持つことから、鉱物学者の注目を集めています。

通常の雲母との違い

一般的な[雲母]]では、結晶構造中の4配位の位置にアルミニウム]が1つ存在するのに対し、楊主明[雲母ではこの位置がケイ素]に置き換えられています。この[ケイ素置換によって生じる電荷の不均衡は、マグネシウム]が0.5個欠損することでバランスが取られています。この特徴から、楊主明[雲母は「4配位シリカ雲母]」という分類に属します。また、鉄を主成分とするmontdorite (KFe₂.₅Si₄O₁₀F₂) の[[マグネシウム置換体とみなすことも可能です。

命名の由来

この鉱物は、希土類元素鉱物の研究に多大な貢献をした中国科学院の鉱物学者、楊主明氏にちなんで命名されました。楊主明氏の研究が、この新鉱物の発見に繋がった重要な役割を果たしたことを示しています。

発見と研究

楊主明雲母の発見は、国立科学博物館の宮脇律郎氏らの研究グループによるものです。彼らは、バヤンオボ鉱山から採取された試料を詳細に分析し、その特異な組成と結晶構造を明らかにしました。この発見は、2011年にEuropean Journal of Mineralogyに掲載され、世界中の鉱物学者に広く知られるようになりました。その後も、楊主明雲母の結晶構造や生成条件に関する研究が続けられています。特に、リチウム(Li)添加による合成実験とその結晶構造解析は、この鉱物の理解を深める上で重要な成果となっています。

楊主明雲母の意義

楊主明雲母の発見は、雲母グループの多様性を示す重要な事例です。従来知られていた雲母の組成や構造に関する理解を深め、新たな鉱物探索への指針となる発見と言えるでしょう。また、バヤンオボ鉱山は、希土類元素鉱床として知られていますが、このような特異な組成を持つ雲母が存在することからも、この鉱山の地質学的特性の複雑さと多様性が示唆されます。今後の研究によって、楊主明雲母の生成メカニズムや地質学的意義がさらに解明されることが期待されています。

まとめ

楊主明雲母は、その特異な化学組成と結晶構造、そして発見と命名の背景から、鉱物学上重要な意義を持つ新鉱物です。この鉱物の発見は、鉱物学研究の進歩を示すと共に、地球科学における新たな知見を提供するものです。今後、さらに詳細な研究が進むことで、楊主明雲母に関する理解が深まり、地球科学の様々な分野に貢献することが期待されます。

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