楊林 (水滸伝)

楊林の生涯とその活躍

楊林（よう りん）は、中国の名作『水滸伝』に登場する重要なキャラクターであり、梁山泊の第五十一位の好漢です。彼は地暗星の生まれ変わりとされ、背が高く、大柄で精悍な見た目を持つため、錦豹子（きんぴょうし）と呼ばれています。特に、彼の得意武器は、空洞の柄を持つ鉄槍、筆管槍（ひっかんそう）です。

もともと流れ者の盗賊であった楊林は、各地の情報通でもあり、社交的な性格から多くの仲間と交流していました。彼の広い人脈は、梁山泊の戦力強化に非常に役立ちました。加えて、楊林自身は器用で、戦闘だけでなく、変装や潜入など様々な役割を担っていました。数々の危険な状況に直面したにもかかわらず、彼は幸運に恵まれ、何度も生還しています。

早期の人生

河南省の彰徳出身の楊林は、若い頃から流れ者の盗賊として活動していました。薊州での生活中、彼は梁山泊の好漢、公孫勝と出会い、意気投合しました。公孫勝から梁山泊への紹介状を受けたものの、なかなかその地に赴くことができませんでしたが、ある日、彼は超人的な速度で接近する男、戴宗と出会います。

楊林は直感で彼が公孫勝の知己であることを察し、道案内を買って出た後、戴宗と義兄弟の契りを結び、梁山泊への参加を果たすことになります。薊州に戻った時、旧知の仲である鄧飛や、彼の仲間である裴宣、孟康らとも再会し、彼らを梁山泊の仲間に引き込むことに成功しました。

複雑な運命

楊林はその後、梁山泊が祝家荘と対立する際に、雲水に変装し情報収集に向かいますが、捕虜になってしまいます。しかし、彼の知人の鄒淵によって救出され、その後彼は奮闘して祝家荘を陥落させる一因となります。その後も李家荘に対する攻撃の際には、捕り方の役人に扮するなど、様々な策略を用いて仲間を救い、戦闘に貢献しました。

また、高唐州との戦いでは、知事の高廉による妖術により、梁山泊軍が敗走する中、楊林と白勝は知略を働かせて危機を脱し、重要な戦果を上げます。さらに呼延灼が攻めてきた際には、歩兵を率いて力強く迎え撃ち、第一次曾頭市攻めにも参加しました。

楊林の業績とその後

百八星集結後、楊林は騎兵小彪将として活躍し、主に楊志の副将として戦闘に参加しました。また、高俅が攻めてきた際には、水夫に変装して敵艦に潜入し、敵将を討ち取った功績も残しています。戦後、楊林は城攻めや伏兵としてもその腕前を発揮し、朝廷に帰順後も精力的に活動を続けました。

しかし、後に杭州で流行した疫病に罹り、長い間病床に伏せることになります。この病にかかって亡くなった仲間が多い中、楊林は奇跡的に快復し、看病してくれた穆春と共に梁山泊に戻ります。彼は、方臘との戦いに再び参加し、その後都に戻った際、他の頭領たちと同様に官爵を授けられましたが、これを辞退しました。最後は裴宣と共に飲馬川に隠遁し、静かな余生を送りました。

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